POS分析

月次・週次の季節指数の使い分け

以前の記事では、月次・週次の季節指数を用いた、提案時期の検討方法について、ご紹介しました。

本記事では、この2つの季節指数をどの様に使い分けるのか、詳しくご紹介していきます。

 

まず、使い分けの大きなイメージは以下2点です。

月次指数     「どの月に力を入れるか?」を決めるための 年間設計に用いる
週次指数     「どの週に仕掛けるか?」を決めるための 実行計画に用いる

それぞれについて、特徴、用途をより具体的にご説明します。

 

① 月次季節指数
特徴:月単位の需要変動(季節要因・年間イベント影響)が分かる
用途:月別の販促提案に活用できる
生産計画において、生産数量・在庫配分の大枠を決める事に役立つ

 

② 週次季節指数
特徴:1か月の中でも「山・谷」を把握可能となる。
用途:販促タイミングを精緻に意思決定でき、需要の山に合わせたチラシ・キャンペーン展開に活用
週別の出荷数量見込を精査する事ができ、生産計画を精緻に策定する事に寄与する。

 

量販店の方は、基本的に指数が高まる商品を、その時々で売り込みます(売上利益最大化が図れるため)。
皆さまの商品が、適切なタイミングでしっかりと拡売され、
得意先の評価が上がる事を願っております。
日々の商談に活かして頂ければ幸いです。

季節指数を活用した提案時期の検討

同じ提案でも、適切な時期に実施すれば、成果が最大化できます。
季節指数を参考にして、最適な販促タイミングを検討しましょう。

今回は、月次・週次データを用いて季節指数を算出し、最適な販促タイミングを探索していきます。
季節指数の計算式は、以下の通りです。

    ① 季節指数(月別)= 月別の数値 ÷ 全体平均(1-12月) × 100
    ② 季節指数(週別)= 週別の数値 ÷ 全体平均(1-53週) × 100
※季節指数が100以上なら、その月・週は平均より高く、100未満なら低いことを意味します。

 

今回は、ケーキ用マーガリン 季節指数を月別・週別で見ていきます。

2月、12月の季節指数が高い事が分かります。
※算出根拠(例):(2月 季節指数) 245 = (2月 金額) 5,949千円 ÷ (全体平均(1-12月)) 2,431千円

 

週別にみると、1月3週目から季節指数が上昇傾向にあります。
※算出根拠(例):(2/12週 季節指数) 460 = (2/12週 金額) 2,532千円 ÷ (全体平均(1-53週)) 550千円

※期間:2024年1-12月、 細分類「マーガリン・ファットスプレッド類」対象商品:COOP ケーキ用マーガリン食塩不使用100g×2、雪印メグミルク ケーキ用マーガリン100g×2、明治 ケーキマーガリン 100g×2

 

上記グラフより、ケーキ用マーガリンは1月3-4週には売場展開しておくべきと考えられます。

効果的な時期を見つけ、売上利益最大化を目指しましょう。

得意先から強い条件要請をされたときの対処法

商談相手(バイヤー、卸売担当者など)から「足元で利益が大変厳しく、来月だけ協賛金が欲しい。
できないなら、他社含め取引を見直すことになる」と強い要請を受けたご経験はありませんか?
今回は、双方が良好な取引関係で妥結するための提案手法をご紹介します。

 

ポイントは以下2点です。
① 商談相手に、こちらも見返りとして大きい取引額を求める ⇒ 費用率を抑える事を目指す。
② 高利益商材について、取引額拡大を要望する ⇒ 利益率も下げない努力をする。

 

まず①についてです。

例)商談相手が要望する協賛金を「10万円」、A商品1ヶ月あたり納品金額を「100万円」とします

費用率は、以下の通りです。

10%(費用率) = 10万(費用) ÷ 100万(1か月あたり納品金額)

納品金額を増やせば、費用率が抑えられます。商品の新規導入や、特売獲得を図りましょう。

この時、「POS」を活用して、商品の販売力も伝えると説得力が増します。

 

次に②についてです。

提示する見返りが、自社に取って薄利であると今後の課題になってしまいます。

利益率にも注意を払い、提案をしましょう。

 

上記、当初の提案通りにいくことは難しく、お互いの妥協点を探す交渉が続くと思いますが、
この様な厳しいやり取りの中だからこそ、得意先に関する情報を多々得る事ができます。
情報は、今後の商談に活かす事ができます。
是非、粘り強く商談に望んで頂ければと思います。

売上好調カテゴリーにおける、平均価格を切り口とした提案

得意先の売上高・数量が伸びていても、平均価格が下がっている場合、
過剰な値下げによる利益率悪化になっていないでしょうか。
昨今ではインフレ傾向にある中、無駄な値下げを行っていないか、注視する必要があります。

 

ここでは、オリーブオイルの事例を基に、ご説明していきます。

 

小分類「食用油」全体よりも、金額増減率が上回っており、足元では好調と言えますが、
平均価格が大きく下がっています。
次にオリーブオイルの商品別データから、平均価格を下げている商品を見ていきます。

 

「CGC コルドリーヴァオリーブオイルEXV」2品、
「日清オイリオ やさしーく香るEXVオリーブオイル PET 350g」が
平均価格増減率▲22~▲26%と大きく平均価格を下げています。

 

オリーブオイルの価格改定が一巡、かつ相場が下がっているものの、非効率な値下げを
行っていないか、注視すべきです。特売価格の見直し、
定番品揃えの見直しを行い、利益率改善を提案してまいりましょう。

売上好調カテゴリーの細分化(ドリルダウン)で不振カテゴリーを見出す

売上好調カテゴリーだからといって、全ての商品が順調とは限りません。
細分化(小分類・容量別・フレーバー別・SKU別など)して数値を把握することで、
全体の中に潜む不振要因を探索していきましょう。
単なる「好調」の裏に隠れた、伸びしろのあるサブカテゴリーを把握できるかもしれません。

今回は「マーガリン・ファットスプレッド類」の事例をご紹介します。
以下、小分類「乳製品」の細分類別数値です。
「マーガリン・ファットスプレッド類」の金額増減率は、全体を上回り好調です。

 

 

次に「容量(大・中・小)」に細分化してみます。
※容量別の基準については、抽出後に独自に作成して付与しています。
小容量が全体の増減率を下回っている事がわかりました。

では、小容量(〜100g未満)SKU別データを見てみましょう。

 

 

 

 

 

「明治 チューブでバター1/3ガーリック」以外、小容量全体を押し下げています。
分析結果は、得意先の販促組み換え・定番差替の根拠にして、売上利益拡大につなげましょう。

季節の変わり目に起こる「売れ筋のズレ」

POSデータを日々見ていると、季節の変わり目に「これまで売れていた商品が急に売れなくなる」現象にたびたび遭遇します。まさに「売れ筋のズレ」です。これは多くの店舗で共通して見られる傾向であり、販促計画を立てるうえで見過ごせないポイントになります。

例えば、9月下旬ごろになると、まだ日中は暑さが残っているにもかかわらず、アイスクリームや冷たい飲料の売上が急に落ちることがあります。その一方で、温かい飲み物や即席スープ類の売上が、気温に見合わないほど早く伸び始めることがあります。これは、気温そのものよりも「季節感」や「気分」によって消費者の購買行動が左右されている証拠といえるでしょう。

また、衣料品や生活雑貨でも同じ現象が見られます。例えば、10月に入っても日によってはまだ暑い日があるのに、半袖Tシャツの売上が減り、長袖インナーやあったかグッズが動き始めることがあります。これは、店舗のディスプレイや広告が「秋・冬モード」になることで、消費者の意識が切り替わるためと考えられます。

こうした「売れ筋のズレ」は、売上の波を見逃さないPOSデータ分析によって早期に察知することが可能です。実際、過去データをもとにタイミングを予測し、販促の切り替えを早めた店舗では、売上の落ち込みを最小限に抑えることができた事例もあります。季節の変わり目は、気温や天候に加えて「気分」や「先取り意識」といった、目に見えない要素が売上に影響を与えます。POSデータを活用し、リアルタイムに消費行動を読み取ることで、こうした「ズレ」にいち早く対応し、機会損失を防ぐことができるのです。

雨の日と売上の意外な関係

天候が消費行動に影響を与えることはよく知られていますが、POSデータを分析すると、雨の日に特定の商品が売れやすくなる傾向があることがわかります。今回は、雨の日の売上の変化について、意外なデータをもとにお話しします。

あるスーパーマーケットのPOSデータを分析したところ、雨の日には即席食品や冷凍食品の売上が増えることが判明しました。これは、外出を控える消費者が多く、簡単に調理できる食品を購入するためと考えられます。特に、カップラーメンやインスタントスープの売上は晴れの日と比較して1.5倍以上に増えていました。また、冷凍うどんやパスタソースの売上も伸びており、自宅で温かい食事を手軽に準備したいという需要があることがうかがえます。

一方で、意外な商品として「お菓子」と「アルコール」の売上が増加していることもわかりました。特にチョコレートやポテトチップスのようなスナック菓子は、雨の日に通常よりも20%以上売上が上がることが確認されました。これは、外出せずに家で過ごす時間が増えることで、映画鑑賞や読書のお供としてお菓子を楽しむ人が増えるためと考えられます。これと同様に、ビールやチューハイなどのアルコール飲料も雨の日に売れやすい傾向にあります。

さらに、雨の日に売上が伸びる商品の一例として「クリーニング用品」や「室内消臭剤」も挙げられます。部屋干しの機会が増えることで、衣類用の消臭スプレーや除湿剤の購入が増えるのです。特に、雨が続く時期にはこの傾向が顕著になり、店舗によっては通常の1.3倍以上の売上を記録することもありました。

一方で、炭酸飲料やアイスクリームのような冷たい飲食物は、ブランドや容量によっても異なりますが、晴れの日に比べて売上が減る傾向が見られます。また、アウトドア関連の商品や衣料品の一部も、天候の影響を大きく受けるため、販売計画を考える際には天気予報と連動させることが重要になります。

レジ前商品が狙う“ついで買い”の正体とは?

スーパーやコンビニのレジ周りには、ガムやチョコレート、小さなスナック菓子などが並んでいます。いわゆる「レジ前商品」と呼ばれるこれらの商品は、「ついで買い」を狙った配置とされていますが、実際にどれほどの効果があるのでしょうか?POSデータを分析することで、その実態を探ってみました。

あるコンビニのPOSデータをもとに、レジ前商品の販売動向を調べたところ、確かに他の棚の商品と比べて「単品購入率」が高いことがわかりました。つまり、レジ前の商品は「ほかの商品と一緒に買われる」のではなく、「それ単体で買われる」ことが多いのです。特に、仕事帰りの時間帯や週末の午後にその傾向が顕著に表れていました。これは、ちょっとした気分転換やおやつとしての需要が高いことを示しています。

また、レジ前商品の種類によって売上に違いがあることも明らかになりました。例えば、ガムやミントタブレットは朝と昼の時間帯に、チョコレートやスナック菓子は夕方以降に売れやすい傾向がありました。これは、朝の通勤・通学前に口臭ケアとしてガムが買われたり、夜に甘いものを求める消費者が増えたりするためと考えられます。さらに、レジ前に新商品を置くと、通常よりも売上が伸びるケースが多いことも確認できました。これは、消費者が会計時に目新しさを感じ、思わず手に取るケースが多いためと考えられます。

しかし、すべてのレジ前商品が必ずしも売れるわけではありません。POSデータを分析すると、商品の種類や価格によって売れ行きに大きな差があることがわかります。例えば、高価格帯の商品や目立ちにくいデザインのものは、レジ前に置かれていてもあまり手に取られない傾向があります。逆に、小さいサイズで手頃な価格の商品は「ついで買い」されやすく、売上に貢献しやすいことがわかりました。

このように、レジ前商品の効果は決して一概には語れませんが、適切な商品選びと配置によって売上を伸ばすことが可能です。POSデータを活用し、時間帯や客層に合った商品を配置することで、より効果的な販売戦略を立てることができます。

POSデータが明かす意外な人気商品

POSデータを分析していると、思いもよらない商品が売れ筋になっていることに気づくことがあります。今回は、そうした「意外な人気商品」についてお話しします。

あるスーパーのPOSデータを分析した際、特定の即席スープが予想以上に売れていることがわかりました。このスープは特に広告が打たれているわけでもなく、棚の目立つ場所に置かれていたわけでもありません。しかし、販売数を詳しく調べると、特定の時間帯に集中して売れていることが判明しました。そこで、レシートデータと照合したところ、同じ時間帯にパンやサラダを購入しているお客様が多いことがわかりました。これは、昼食需要の高まりと関係していると考えられます。

また、別の店舗では、ある地域でのみ「小さなボトル入りの醤油」が売れ続けていました。通常サイズの醤油よりも割高であるにもかかわらず、なぜ売れているのか不思議に思い、購入者層を分析してみました。すると、この店舗の近くには単身者向けの賃貸物件が多く、小さなサイズの醤油の需要が高いことがわかりました。単身者にとっては、醤油を大きなボトルで購入すると使い切れずに余ってしまうため、少量サイズの方が便利だったのです。

このように、POSデータの分析によって、通常の売れ筋ランキングでは見えにくい「隠れた人気商品」を見つけることができます。そして、その背景には必ず顧客の生活スタイルや購買行動が関係しています。データをもとに消費者の行動を読み解くことで、新たな売上向上のヒントが見つかるかもしれません。

分析講座 第35回 市場POSデータ分析:上級⑩

今回も価格弾性分析を見ていきます。

 

 

前回、自社アイテムの価格弾性のパターンを知ることが重要とお伝えしましたが、主要価格を変更すると価格弾性のパターンも変化することがあります。そのため前年同期と価格弾性を比較していくことも非常に重要な分析となります。

 

 

上記のグラフは、価格帯別の出現シェアと数量PIを前期と比較したものです。アイテムは前々回の第33回に紹介したアイテムと同じです。

 

出現シェアを前期と比較すると、前期が310~350円台が主要価格帯でしたが、当期は350~390円台に主要価格が変化しており、値上げしたことがわかります。特に390円台に価格が集中していますね。

重要なのは主要価格帯の変化によって、数量PIが変化したかという点です。結果は数量PIの折れ線グラフを比較していただくとわかるように、ほとんど変化がありませんでした。
値上げは数量PIがほとんど変わらない範囲で行われており、販売にほとんど影響がない理想に近い値上げであったことがわかります。

 

客観的なデータを小売や卸に提示できれば、値上げする際にも比較的受け入れやすくなり、値上げのフィードバックとして上記のアウトプットを見せれば、主要価格帯を400円以上に値上げすることも受け入れられる可能性が高まります。

 

ぜひ、一度自社のアイテムについて分析してみてください。
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データ出典:KSP-POS