POSデータ

大容量シフトが招く売上高減少リスク ~オリーブオイル市場の警鐘~

本記事では、オリーブオイル市場における「急激な大容量の伸長」によって、
売上高にどのような影響を与えているか解説していきたいと思います。

数値を見ますと、平均単価が前年割れ、数量増減率が若干の前年割れのため、金額増減率が大きく前年を割っています。
次は商品別データも参照していきます。

水色網掛け「600g 以上」の大容量が、金額・数量共に大きく伸長しています。
一方で、300~450g前後の真ん中の容量帯は苦戦しており、大半が金額・数量共に前年割れです。

消費者の動きに言い換えますと、これまで300gを2本買っていたお客様が、600g1本に切り替えた…といった事象が起きている様です。

大容量は「ユニットプライス」がお得な傾向にあるので、これでは数量も減り、売上高も減ってしまいます(大幅に消費量が増えない限り)
更に、平均単価は商品問わずに、大きく前年よりも下がっています。価格高騰が落ち着き、原料自体が値下がり傾向にあるかもしれません。

このまま「大容量」の伸長を維持・加速させると…先行きが不安ですね。。

攻めどころとしては、「ユニットプライスの下落を抑える」点にあります。
次の記事では、具体策について触れていきます。

これからの売場づくりに、POSデータをどう活かす?

これまで9回にわたり、POSデータ分析にまつわる「ちょっとした気づき」や「現場あるある」についてお話ししてきました。

最終回となる今回は、これらを踏まえて、POSデータをこれからどう活かしていけるのかを考えてみたいと思います。

 

最近では、生成AIを活用したPOSデータ分析もできるようになり、「何が売れている?」「どこに課題がある?」といったことを手軽に掘り下げられるようになってきました。一方で、現場の経験や「なんとなく感じる違和感」も、データの裏付けと組み合わせることで、より説得力ある打ち手につながります。

また、最近はID付POS(誰が何を買ったかまで分かるデータ)が注目されがちですが、IDがなくても、通常のPOSデータでも十分に活用の余地があります。
「いつ、どこで、何が、どれだけ売れたか」という情報だけでも、時間帯・曜日・天候・陳列場所・販促施策との関連を探ることで、売場改善のヒントは無数に見つかります。ID付に頼らずとも、基礎データを丁寧に見ていくことで、現場に即した発見はたくさんあるのです。

大切なのは、POSデータを「見て終わり」にせず、「だからどうする?」を日々の業務に落とし込むことです。
分析の手法は完璧でなくても、具体的な気づきを重ねていけば、きっとお店づくりの引き出しがひとつ、またひとつと増えていくはずです。

これからも、数字の向こうにあるお客さまの姿を想像しながら、POSデータとじっくり向き合ってみてください。
そんな日々の積み重ねが、明日の“ヒット商品”や“リピーター”を生み出す第一歩になるかもしれません。

 

生成AIはPOSデータ分析できる?実験してみた②(2025年10月時点)

前回に引き続き、生成AIを使ったPOSデータ分析を行っていきます。

今回はアイテム別の販売金額、販売数量、平均価格、数量/店、販売店率の単月比較です。

 

 

分析対象データは以下を利用しました。カテゴリー別の販売金額と平均価格の単月比較と、比較的シンプルなデータです。

 

プロンプトと結果は以下のとおりになりました。

 

ChatGPTは2022年11月にリリースされた当初、主に文章生成や質問応答に強みを持っていましたが、
数値処理やデータ分析の精度は限定的でした。
その後のモデル進化により、現在ではPOSデータやExcelなどの構造化データもある程度は解析できるようになっています。

特に売上構成比や伸び率、カテゴリー別のトレンド分析など、実務レベルの分析に活用できる部分も増えていると思いますので、皆様も積極的に活用していってください。

改訂)生成AIはPOSデータ分析できる?実験してみた①(2025年10月時点)

前回、「POSデータ分析とAI」について書きましたが、今回は実際に現在の生成AIでPOSデータ分析ができるかを検証したいと思います。利用した生成AIは、2025年10月時点の「ChatGPT 5」です。

 

 

 

分析対象データは以下を利用しました。カテゴリー別の販売金額と平均価格の単月比較と、比較的シンプルなデータです。

以下のプロンプトで実行しました。

アウトプットは以下のようになりました。

前年同月比を計算して、伸び率が高い、「畜産缶詰」をピックアップしていました。
次にもう少し具体的な条件で作成しました。

アウトプット

伸び率や売上構成比の計算が正確に行われており、売上構成比10%以下のカテゴリーを除外する条件も適切に反映されています。分析の基本に忠実で、妥当な結果が得られました。

今回はデータ量が少なめでしたが、次回はより多くのデータを用いて精度を検証してみたいと思います。

売上好調カテゴリーの細分化(ドリルダウン)で不振カテゴリーを見出す

売上好調カテゴリーだからといって、全ての商品が順調とは限りません。
細分化(小分類・容量別・フレーバー別・SKU別など)して数値を把握することで、
全体の中に潜む不振要因を探索していきましょう。
単なる「好調」の裏に隠れた、伸びしろのあるサブカテゴリーを把握できるかもしれません。

今回は「マーガリン・ファットスプレッド類」の事例をご紹介します。
以下、小分類「乳製品」の細分類別数値です。
「マーガリン・ファットスプレッド類」の金額増減率は、全体を上回り好調です。

 

 

次に「容量(大・中・小)」に細分化してみます。
※容量別の基準については、抽出後に独自に作成して付与しています。
小容量が全体の増減率を下回っている事がわかりました。

では、小容量(〜100g未満)SKU別データを見てみましょう。

 

 

 

 

 

「明治 チューブでバター1/3ガーリック」以外、小容量全体を押し下げています。
分析結果は、得意先の販促組み換え・定番差替の根拠にして、売上利益拡大につなげましょう。

季節の変わり目に起こる「売れ筋のズレ」

POSデータを日々見ていると、季節の変わり目に「これまで売れていた商品が急に売れなくなる」現象にたびたび遭遇します。まさに「売れ筋のズレ」です。これは多くの店舗で共通して見られる傾向であり、販促計画を立てるうえで見過ごせないポイントになります。

例えば、9月下旬ごろになると、まだ日中は暑さが残っているにもかかわらず、アイスクリームや冷たい飲料の売上が急に落ちることがあります。その一方で、温かい飲み物や即席スープ類の売上が、気温に見合わないほど早く伸び始めることがあります。これは、気温そのものよりも「季節感」や「気分」によって消費者の購買行動が左右されている証拠といえるでしょう。

また、衣料品や生活雑貨でも同じ現象が見られます。例えば、10月に入っても日によってはまだ暑い日があるのに、半袖Tシャツの売上が減り、長袖インナーやあったかグッズが動き始めることがあります。これは、店舗のディスプレイや広告が「秋・冬モード」になることで、消費者の意識が切り替わるためと考えられます。

こうした「売れ筋のズレ」は、売上の波を見逃さないPOSデータ分析によって早期に察知することが可能です。実際、過去データをもとにタイミングを予測し、販促の切り替えを早めた店舗では、売上の落ち込みを最小限に抑えることができた事例もあります。季節の変わり目は、気温や天候に加えて「気分」や「先取り意識」といった、目に見えない要素が売上に影響を与えます。POSデータを活用し、リアルタイムに消費行動を読み取ることで、こうした「ズレ」にいち早く対応し、機会損失を防ぐことができるのです。

雨の日と売上の意外な関係

天候が消費行動に影響を与えることはよく知られていますが、POSデータを分析すると、雨の日に特定の商品が売れやすくなる傾向があることがわかります。今回は、雨の日の売上の変化について、意外なデータをもとにお話しします。

あるスーパーマーケットのPOSデータを分析したところ、雨の日には即席食品や冷凍食品の売上が増えることが判明しました。これは、外出を控える消費者が多く、簡単に調理できる食品を購入するためと考えられます。特に、カップラーメンやインスタントスープの売上は晴れの日と比較して1.5倍以上に増えていました。また、冷凍うどんやパスタソースの売上も伸びており、自宅で温かい食事を手軽に準備したいという需要があることがうかがえます。

一方で、意外な商品として「お菓子」と「アルコール」の売上が増加していることもわかりました。特にチョコレートやポテトチップスのようなスナック菓子は、雨の日に通常よりも20%以上売上が上がることが確認されました。これは、外出せずに家で過ごす時間が増えることで、映画鑑賞や読書のお供としてお菓子を楽しむ人が増えるためと考えられます。これと同様に、ビールやチューハイなどのアルコール飲料も雨の日に売れやすい傾向にあります。

さらに、雨の日に売上が伸びる商品の一例として「クリーニング用品」や「室内消臭剤」も挙げられます。部屋干しの機会が増えることで、衣類用の消臭スプレーや除湿剤の購入が増えるのです。特に、雨が続く時期にはこの傾向が顕著になり、店舗によっては通常の1.3倍以上の売上を記録することもありました。

一方で、炭酸飲料やアイスクリームのような冷たい飲食物は、ブランドや容量によっても異なりますが、晴れの日に比べて売上が減る傾向が見られます。また、アウトドア関連の商品や衣料品の一部も、天候の影響を大きく受けるため、販売計画を考える際には天気予報と連動させることが重要になります。

レジ前商品が狙う“ついで買い”の正体とは?

スーパーやコンビニのレジ周りには、ガムやチョコレート、小さなスナック菓子などが並んでいます。いわゆる「レジ前商品」と呼ばれるこれらの商品は、「ついで買い」を狙った配置とされていますが、実際にどれほどの効果があるのでしょうか?POSデータを分析することで、その実態を探ってみました。

あるコンビニのPOSデータをもとに、レジ前商品の販売動向を調べたところ、確かに他の棚の商品と比べて「単品購入率」が高いことがわかりました。つまり、レジ前の商品は「ほかの商品と一緒に買われる」のではなく、「それ単体で買われる」ことが多いのです。特に、仕事帰りの時間帯や週末の午後にその傾向が顕著に表れていました。これは、ちょっとした気分転換やおやつとしての需要が高いことを示しています。

また、レジ前商品の種類によって売上に違いがあることも明らかになりました。例えば、ガムやミントタブレットは朝と昼の時間帯に、チョコレートやスナック菓子は夕方以降に売れやすい傾向がありました。これは、朝の通勤・通学前に口臭ケアとしてガムが買われたり、夜に甘いものを求める消費者が増えたりするためと考えられます。さらに、レジ前に新商品を置くと、通常よりも売上が伸びるケースが多いことも確認できました。これは、消費者が会計時に目新しさを感じ、思わず手に取るケースが多いためと考えられます。

しかし、すべてのレジ前商品が必ずしも売れるわけではありません。POSデータを分析すると、商品の種類や価格によって売れ行きに大きな差があることがわかります。例えば、高価格帯の商品や目立ちにくいデザインのものは、レジ前に置かれていてもあまり手に取られない傾向があります。逆に、小さいサイズで手頃な価格の商品は「ついで買い」されやすく、売上に貢献しやすいことがわかりました。

このように、レジ前商品の効果は決して一概には語れませんが、適切な商品選びと配置によって売上を伸ばすことが可能です。POSデータを活用し、時間帯や客層に合った商品を配置することで、より効果的な販売戦略を立てることができます。

POSデータが明かす意外な人気商品

POSデータを分析していると、思いもよらない商品が売れ筋になっていることに気づくことがあります。今回は、そうした「意外な人気商品」についてお話しします。

あるスーパーのPOSデータを分析した際、特定の即席スープが予想以上に売れていることがわかりました。このスープは特に広告が打たれているわけでもなく、棚の目立つ場所に置かれていたわけでもありません。しかし、販売数を詳しく調べると、特定の時間帯に集中して売れていることが判明しました。そこで、レシートデータと照合したところ、同じ時間帯にパンやサラダを購入しているお客様が多いことがわかりました。これは、昼食需要の高まりと関係していると考えられます。

また、別の店舗では、ある地域でのみ「小さなボトル入りの醤油」が売れ続けていました。通常サイズの醤油よりも割高であるにもかかわらず、なぜ売れているのか不思議に思い、購入者層を分析してみました。すると、この店舗の近くには単身者向けの賃貸物件が多く、小さなサイズの醤油の需要が高いことがわかりました。単身者にとっては、醤油を大きなボトルで購入すると使い切れずに余ってしまうため、少量サイズの方が便利だったのです。

このように、POSデータの分析によって、通常の売れ筋ランキングでは見えにくい「隠れた人気商品」を見つけることができます。そして、その背景には必ず顧客の生活スタイルや購買行動が関係しています。データをもとに消費者の行動を読み解くことで、新たな売上向上のヒントが見つかるかもしれません。

分析講座 第35回 市場POSデータ分析:上級⑩

今回も価格弾性分析を見ていきます。

 

 

前回、自社アイテムの価格弾性のパターンを知ることが重要とお伝えしましたが、主要価格を変更すると価格弾性のパターンも変化することがあります。そのため前年同期と価格弾性を比較していくことも非常に重要な分析となります。

 

 

上記のグラフは、価格帯別の出現シェアと数量PIを前期と比較したものです。アイテムは前々回の第33回に紹介したアイテムと同じです。

 

出現シェアを前期と比較すると、前期が310~350円台が主要価格帯でしたが、当期は350~390円台に主要価格が変化しており、値上げしたことがわかります。特に390円台に価格が集中していますね。

重要なのは主要価格帯の変化によって、数量PIが変化したかという点です。結果は数量PIの折れ線グラフを比較していただくとわかるように、ほとんど変化がありませんでした。
値上げは数量PIがほとんど変わらない範囲で行われており、販売にほとんど影響がない理想に近い値上げであったことがわかります。

 

客観的なデータを小売や卸に提示できれば、値上げする際にも比較的受け入れやすくなり、値上げのフィードバックとして上記のアウトプットを見せれば、主要価格帯を400円以上に値上げすることも受け入れられる可能性が高まります。

 

ぜひ、一度自社のアイテムについて分析してみてください。
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データ出典:KSP-POS