POSデータ分析

「ひと目で伝わる!折れ線グラフの色づかいテクニック」

リモートワークが増える中、オンラインでバイヤーと商談する機会も増えている事と思います。

画面上でも、ひと目で伝わるように、折れ線グラフの色づかいを工夫する方法についてお伝えしていきます。

 

まずみなさまにお聞きしたいのですが、
下の2つのグラフにおいて、「コーヒー飲料」「炭酸飲料」をバイヤーに見てもらいたいとき、
どちらのグラフの方が目にとまりやすいでしょうか。

グラフ1

 

グラフ2

 

 

おそらく、多くの方がグラフ1の方かと思います。
伝える必要のないところを目立たせない様にすることに加えて、
伝えたいところを目立たせる色使い、画像の活用に取り組んでみましょう。

 

以下の方法を参考に、ぜひ試してみてください。

 

折れ線グラフの加工方法(Excel)

*Microsoft365の場合。その他のソフトでは操作方法が異なる場合があります。

 

最初は以下のようにグラフができます。

 

まずは「データラベル」を出していきましょう。

手順:数値を表示させたい点を選択・右クリック⇒「データラベルの追加」を2回続けて選択

 

↓ひとつずつ設定すると、以下のようになります。

 

 

次に不要な「縦軸」を消しましょう。
手順:「縦軸の数値をクリック」⇒「Delete」ボタンで削除

 

↓以下のようになります。

 

次に色使いです。

手順:「折れ線ごとに選択・右クリック」⇒「塗つぶし・枠線」ボタンで色を選択
     ⇒ここではコーヒー飲料を茶色、炭酸飲料を青色、その他をグレーで設定

↓以下のようになります。

 

仕上げに「フォントの大きさ」「枠線の太さ」「画像貼付」を設定して完成です!

商談に勝つために>ひと目で伝わる!一覧表の色づかいテクニック

ここからは、短い商談時間の中で、バイヤーにひと目で伝わるように、色づかいを工夫する方法についてお伝えしていきます。

まずみなさまにお聞きしたいのですが、
下の2つのグラフにおいて、「アイテム3」「アイテム4」をバイヤーに見てもらいたいとき、
どちらのグラフの方が目にとまりやすいでしょうか。

 

グラフ1

 

グラフ2

 

おそらく、多くの方がグラフ1の方かと思います。

伝える必要のないところを目立たせない様にすることで、伝えたいところを明確にする工夫をしてみましょう。

 

以下の方法を参考に、ぜひ試してみてください。

 

図形の透明度を設定する方法(Excel)

*Microsoft365の場合。その他のソフトでは操作方法が異なる場合があります。

 

手順①:「挿入」⇒「図」⇒「四角形」を選択

 

手順②:「図形の書式」⇒「図形の塗りつぶし」⇒「灰色」を選択

 

手順③:「図形の書式」⇒「図形の枠線」⇒「灰色」を選択

 

手順④:「図形の書式」⇒「塗りつぶしの色」⇒「透過性」を設定(ここでは30%とします)

 

手順⑤:完成した「図形」を目立たせたくない箇所において完成です!

 

 

悩む品揃え、どう決める?データで支える商品入れ替え戦略

バイヤーは、以下の様な悩みを持たれています。

(コーヒー飲料の品揃えを増やし、炭酸飲料を少し減らそうと考えているけれど…)

(どの商品を減らして、どの商品を新しく入れるべきか…。候補が多すぎて決められない…)

 

 

そんな時は、POSデータを使って整理・分析することで、判断しやすくなります。

ここでは「金額/店(1店舗あたりの売上)」
「実績店数(実際に売られている店舗数)」という2つの指標を使います。

 

この2つをもとに、「もっと多くの店舗で扱えば売上に貢献できる商品」を見つけましょう。

 

たとえば以下のようなケース:

炭酸飲料、コーヒー 販売金額アイテム別ランキング

エリア:全国、期間:2020年4月-2021年3月 *架空の数値です

 

アイテム3とアイテム4の「金額/店」を比較すると、アイテム3の方が高いにもかかわらず、
アイテム3はまだ取扱店舗数が少ない。

⇒ このような場合、アイテム3の取り扱い店舗を増やすことが効果的だと考えられます。

 

ここまでは、商談の流れに沿った商品選定の考え方をご紹介してきました。
次のコンテンツでは、短い商談時間でもバイヤーにしっかり伝わるように、図や表の見せ方を工夫する方法についてお話します。

分かりやすく、伝わる資料づくりにぜひお役立てください。

 

 

なぜ売れてる?なぜ落ちてる?仮説で読み解くトレンド分析

バイヤーとトレンド分析について話す際に、よく以下のような事を聞かれます。

「どうしてこんな数値の動きになっているのかな?」 

「消費者の動向はどうなっているのだろう?」

こうした質問に対して、毎回きちんとした消費者調査を行うのは現実的には難しいこともあります。
そこで、新聞やネットニュースなどのメディア情報をヒントに、仮説を立てて伝えてみるのもひとつの方法です。

 

例えば、今回のケースでは、次のような仮説をもとに、バイヤーと意見交換ができるかもしれません
・炭酸飲料は、家庭で作れる炭酸メーカーの人気が影響しており、スーパーの売上に影響を与えている可能性があるのでは?
・ドリップコーヒーなど家庭向け商品の需要が増えており、それがコーヒー飲料の売上を支えているのでは?

 

バイヤーは他のメーカーからも多くの情報を得ています。
こちらが仮説を伝えることで、バイヤー自身がその裏付けを集め、情報を補ってくれることもあります。
また、こうしたやり取りによって、認識の共有ができれば、次回の提案にも活かすことができます。
目の前の売上だけでなく、長期的な信頼関係づくりにもつながるので、ぜひ活用してみてください。

 

売上拡大のカギは“見極め力” トレンド分析を活用した戦略提案

バイヤーは「カテゴリー全体の売上」をどの様に拡大させていくか、日頃から悩まれています。

売上が伸びているカテゴリー、そうでないカテゴリーを見極めながら、
商品のラインナップや特売の計画を立案しており、
その判断の材料としてよく使われるのが、「トレンド分析」です。この記事では、そのトレンド分析についてご紹介します。

 

~トレンド分析とは?~
過去およそ5年間の推移を見て、市場が拡大もしくは縮小しているのかを明らかにする分析方法です

下のグラフ①が、そのトレンド分析の例です。ご覧になった事がある方も多いかもしれません。
※グラフは架空のデータです。参考までにご覧ください。

 

グラフ① 市場トレンド分析(2017年4月-2018年3月を100として)

 

市場規模の推移を見ると、炭酸飲料は少しずつ売上が減ってきている一方で、コーヒー飲料は安定して売上が伸びています。
この流れが今後も続くと想定するならば、商品のラインナップや特売の割合を少しずつ見直し、
売上が好調なコーヒー飲料に力を入れていく事で、長期的には安定した売上の増加が期待できるでしょう。

こうした傾向は定期的に確認し、必要があれば商談の際の資料にも取り入れていくと良いのではないでしょうか。

季節の変わり目に起こる「売れ筋のズレ」

POSデータを日々見ていると、季節の変わり目に「これまで売れていた商品が急に売れなくなる」現象にたびたび遭遇します。まさに「売れ筋のズレ」です。これは多くの店舗で共通して見られる傾向であり、販促計画を立てるうえで見過ごせないポイントになります。

例えば、9月下旬ごろになると、まだ日中は暑さが残っているにもかかわらず、アイスクリームや冷たい飲料の売上が急に落ちることがあります。その一方で、温かい飲み物や即席スープ類の売上が、気温に見合わないほど早く伸び始めることがあります。これは、気温そのものよりも「季節感」や「気分」によって消費者の購買行動が左右されている証拠といえるでしょう。

また、衣料品や生活雑貨でも同じ現象が見られます。例えば、10月に入っても日によってはまだ暑い日があるのに、半袖Tシャツの売上が減り、長袖インナーやあったかグッズが動き始めることがあります。これは、店舗のディスプレイや広告が「秋・冬モード」になることで、消費者の意識が切り替わるためと考えられます。

こうした「売れ筋のズレ」は、売上の波を見逃さないPOSデータ分析によって早期に察知することが可能です。実際、過去データをもとにタイミングを予測し、販促の切り替えを早めた店舗では、売上の落ち込みを最小限に抑えることができた事例もあります。季節の変わり目は、気温や天候に加えて「気分」や「先取り意識」といった、目に見えない要素が売上に影響を与えます。POSデータを活用し、リアルタイムに消費行動を読み取ることで、こうした「ズレ」にいち早く対応し、機会損失を防ぐことができるのです。

雨の日と売上の意外な関係

天候が消費行動に影響を与えることはよく知られていますが、POSデータを分析すると、雨の日に特定の商品が売れやすくなる傾向があることがわかります。今回は、雨の日の売上の変化について、意外なデータをもとにお話しします。

あるスーパーマーケットのPOSデータを分析したところ、雨の日には即席食品や冷凍食品の売上が増えることが判明しました。これは、外出を控える消費者が多く、簡単に調理できる食品を購入するためと考えられます。特に、カップラーメンやインスタントスープの売上は晴れの日と比較して1.5倍以上に増えていました。また、冷凍うどんやパスタソースの売上も伸びており、自宅で温かい食事を手軽に準備したいという需要があることがうかがえます。

一方で、意外な商品として「お菓子」と「アルコール」の売上が増加していることもわかりました。特にチョコレートやポテトチップスのようなスナック菓子は、雨の日に通常よりも20%以上売上が上がることが確認されました。これは、外出せずに家で過ごす時間が増えることで、映画鑑賞や読書のお供としてお菓子を楽しむ人が増えるためと考えられます。これと同様に、ビールやチューハイなどのアルコール飲料も雨の日に売れやすい傾向にあります。

さらに、雨の日に売上が伸びる商品の一例として「クリーニング用品」や「室内消臭剤」も挙げられます。部屋干しの機会が増えることで、衣類用の消臭スプレーや除湿剤の購入が増えるのです。特に、雨が続く時期にはこの傾向が顕著になり、店舗によっては通常の1.3倍以上の売上を記録することもありました。

一方で、炭酸飲料やアイスクリームのような冷たい飲食物は、ブランドや容量によっても異なりますが、晴れの日に比べて売上が減る傾向が見られます。また、アウトドア関連の商品や衣料品の一部も、天候の影響を大きく受けるため、販売計画を考える際には天気予報と連動させることが重要になります。

レジ前商品が狙う“ついで買い”の正体とは?

スーパーやコンビニのレジ周りには、ガムやチョコレート、小さなスナック菓子などが並んでいます。いわゆる「レジ前商品」と呼ばれるこれらの商品は、「ついで買い」を狙った配置とされていますが、実際にどれほどの効果があるのでしょうか?POSデータを分析することで、その実態を探ってみました。

あるコンビニのPOSデータをもとに、レジ前商品の販売動向を調べたところ、確かに他の棚の商品と比べて「単品購入率」が高いことがわかりました。つまり、レジ前の商品は「ほかの商品と一緒に買われる」のではなく、「それ単体で買われる」ことが多いのです。特に、仕事帰りの時間帯や週末の午後にその傾向が顕著に表れていました。これは、ちょっとした気分転換やおやつとしての需要が高いことを示しています。

また、レジ前商品の種類によって売上に違いがあることも明らかになりました。例えば、ガムやミントタブレットは朝と昼の時間帯に、チョコレートやスナック菓子は夕方以降に売れやすい傾向がありました。これは、朝の通勤・通学前に口臭ケアとしてガムが買われたり、夜に甘いものを求める消費者が増えたりするためと考えられます。さらに、レジ前に新商品を置くと、通常よりも売上が伸びるケースが多いことも確認できました。これは、消費者が会計時に目新しさを感じ、思わず手に取るケースが多いためと考えられます。

しかし、すべてのレジ前商品が必ずしも売れるわけではありません。POSデータを分析すると、商品の種類や価格によって売れ行きに大きな差があることがわかります。例えば、高価格帯の商品や目立ちにくいデザインのものは、レジ前に置かれていてもあまり手に取られない傾向があります。逆に、小さいサイズで手頃な価格の商品は「ついで買い」されやすく、売上に貢献しやすいことがわかりました。

このように、レジ前商品の効果は決して一概には語れませんが、適切な商品選びと配置によって売上を伸ばすことが可能です。POSデータを活用し、時間帯や客層に合った商品を配置することで、より効果的な販売戦略を立てることができます。

POSデータが明かす意外な人気商品

POSデータを分析していると、思いもよらない商品が売れ筋になっていることに気づくことがあります。今回は、そうした「意外な人気商品」についてお話しします。

あるスーパーのPOSデータを分析した際、特定の即席スープが予想以上に売れていることがわかりました。このスープは特に広告が打たれているわけでもなく、棚の目立つ場所に置かれていたわけでもありません。しかし、販売数を詳しく調べると、特定の時間帯に集中して売れていることが判明しました。そこで、レシートデータと照合したところ、同じ時間帯にパンやサラダを購入しているお客様が多いことがわかりました。これは、昼食需要の高まりと関係していると考えられます。

また、別の店舗では、ある地域でのみ「小さなボトル入りの醤油」が売れ続けていました。通常サイズの醤油よりも割高であるにもかかわらず、なぜ売れているのか不思議に思い、購入者層を分析してみました。すると、この店舗の近くには単身者向けの賃貸物件が多く、小さなサイズの醤油の需要が高いことがわかりました。単身者にとっては、醤油を大きなボトルで購入すると使い切れずに余ってしまうため、少量サイズの方が便利だったのです。

このように、POSデータの分析によって、通常の売れ筋ランキングでは見えにくい「隠れた人気商品」を見つけることができます。そして、その背景には必ず顧客の生活スタイルや購買行動が関係しています。データをもとに消費者の行動を読み解くことで、新たな売上向上のヒントが見つかるかもしれません。

分析講座 第35回 市場POSデータ分析:上級⑩

今回も価格弾性分析を見ていきます。

 

 

前回、自社アイテムの価格弾性のパターンを知ることが重要とお伝えしましたが、主要価格を変更すると価格弾性のパターンも変化することがあります。そのため前年同期と価格弾性を比較していくことも非常に重要な分析となります。

 

 

上記のグラフは、価格帯別の出現シェアと数量PIを前期と比較したものです。アイテムは前々回の第33回に紹介したアイテムと同じです。

 

出現シェアを前期と比較すると、前期が310~350円台が主要価格帯でしたが、当期は350~390円台に主要価格が変化しており、値上げしたことがわかります。特に390円台に価格が集中していますね。

重要なのは主要価格帯の変化によって、数量PIが変化したかという点です。結果は数量PIの折れ線グラフを比較していただくとわかるように、ほとんど変化がありませんでした。
値上げは数量PIがほとんど変わらない範囲で行われており、販売にほとんど影響がない理想に近い値上げであったことがわかります。

 

客観的なデータを小売や卸に提示できれば、値上げする際にも比較的受け入れやすくなり、値上げのフィードバックとして上記のアウトプットを見せれば、主要価格帯を400円以上に値上げすることも受け入れられる可能性が高まります。

 

ぜひ、一度自社のアイテムについて分析してみてください。
KSP-POSの詳細価格分析はこちら⇒

 

データ出典:KSP-POS