2026年10月1日の酒税法改正により、ビール系飲料(ビール・発泡酒・新ジャンル)の税率が一本化されました。税率の一本化に伴い、主要各社では従来の「新ジャンル」主力ブランドを「ビール規格」へ刷新する動きが加速しています。
RTD(チューハイ等)も増税となりましたが、本レポートでは税率一本化の影響を直接受けたビール系飲料の動向に焦点を当て、食品スーパーのPOSデータ(KSP-POS速報値・週次・全国)をもとに、制度改正前後の消費者購買行動を検証します。
【酒税法改正】
10月1日から、酒税の税率が大きく変わり、ビール、発泡酒、新ジャンルの酒税が一本化された。
* ビール:350ml換算で 9.10円減税(63.35円 → 54.25円)
* 発泡酒・新ジャンル:350ml換算で7.26円増税(46.99円 → 54.25円)
これに伴い、主要各社では従来の「新ジャンル」主力ブランドを「ビール規格」へリニューアルする動きが加速。
リニューアルが公表されているブランドとリニューアル日は以下の通り。

【金額前年比】
・駆け込み需要
増税前の9月21日週には駆け込み需要により新ジャンル・発泡酒が前年比2桁増を記録。改正直後、新ジャンルはビールへのリニューアルで、また発泡酒はまとめ買いの反動で低迷。
ビール系飲料トータルでは前年比86〜91%で着地しており、新ジャンルのビール移行と駆け込み需要の反動を考慮すると想定内の着地。
・ビールカテゴリーの急拡大
ビールカテゴリーは新ジャンルからの流入により、10月5日週以降拡大基調へ転じ、10月19日週には前年比122%を記録。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、速報値、週次、全国)
[金額構成比]
・ビールの金額構成比が約20ポイント拡大した一方、新ジャンルは約15ポイント縮小、発泡酒は2〜3ポイント縮小となり、新ジャンルからの流入で市場の主軸が明確にビールへ移行。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、速報値、週次、全国)
[ビール従来品とリニューアル品]
・酒税法改正後、ビール従来品の売上は下がらず、リニューアル品が上乗せされている状況だが、今後、リニューアルが進むとビール内での競合が激しくなると予想される。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、速報値、週次、全国)
[リニューアルブランド動向]
・リニューアルが公表されているブランドの動向を見ると、直近で本格的に稼働しているのは「サントリー金麦」のみのため、税制改正前の売上は達成できていない。今後全ブランドが本格導入された後の動きが注目される。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、速報値、週次、全国)
[平均価格]
・ビール/新ジャンル/発泡酒の350mlx6缶パックの平均価格を比較
ビール:改正前比 ▲106円下落(1本当たり▲17.7円安)
新ジャンル:改正前比 +48円上昇(1本当たり+8.0円高)
発泡酒: 改正前比 +67円上昇(1本当たり+11.2円高)
※ビールの店頭売価は税率引き下げ幅(1缶約9.1円安)以上の値下がりを見せており、改正に伴い各チェーンで販売促進が実施されたことが推察される。
[アイテムランキング]
・ランキング構造に大きな変化(トップ20アイテム内)
改正前:ビール 8、新ジャンル 8、発泡酒 4
改正後:ビール 14(従来品11/リニューアル品3)、新ジャンル 3、発泡酒 4
今後リニューアル品の増加に伴うランキングの変化に注目したい。
・既存ナショナルブランド(NB)の価格改定例(350ml×6缶):
「アサヒ スーパードライ」:前年比 ▲87円(1本当たり ▲14.5円)
「キリン 一番搾り」:前年比 ▲76円(1本当たり ▲12.7円)
・リニューアルブランドの価格改定例(350ml×6缶):
「サントリー 金麦350mlx6」 799円(新ジャンル)→861円(ビール) +62円(1缶当たり10.3円)
改定後の店頭価格は、既存大手ビール(スーパードライ等)より約135〜145円安価なポジションを維持しており、値頃感の訴求と販促施策が奏功。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、速報値、週次、全国)
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、速報値、週次、全国)
[サントリー金麦動向]
・リニューアルが先行しているのは「サントリー金麦」で、まとめ買いが発生したと思われる9月21日週を除くと、売上は改訂前とほぼ同レベルに達している。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、速報値、週次、全国)
* 平均価格は改定前の799円から861円へと62円上昇(1本当たり+10.3円)。
* 改定直後の販売店率は85%(リニューアル前94%)と配荷過渡期にあるものの、店舗当たり販売数量は旧品と同水準まで回復しており、駆け込み週を除けば改正前の売上規模に迫る立ち上がりを見せている。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、速報値、週次、全国)
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、速報値、週次、全国)
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、速報値、週次、全国)
★★★★★
酒税法改正により、ビール系飲料の構造が大きく変化しています。直近では既存ビールの売上を維持したままリニューアル品が上乗せされていますが、今後各社が新ジャンルブランドのビール化を本格化させた場合、同一カテゴリー内での棚割り・価格競争(定番・プレミアム・新ジャンル発祥)が一層激しくなることが予想されます。
今回はビール系飲料に絞って分析しましたが、RTDも同時に増税されています。「ビールが安くなり、チューハイが高くなった」環境下において、RTDユーザーがビール系へ移行してくるかについても注視が必要です。









