POSデータとは何?
POSデータ(Point of Saleデータ)とは、〈小売店における商品の売上実績データ〉です。
POSデータには、どの商品が、いつ、どこで、いくらで、どのくらい販売されたか、といった情報が含まれており、お客様と商品が出合う店頭における自社と競争企業・商品の動きと、お客様の心の動きを反映したデータとも言えます。すなわち、見ることができないお客様の購買行動を把握するための重要な手段であり、“宝の山”なのです。特に食品は、お客様が何を購入するかの約80%を店頭で決めていると言われていますので、店頭でのお客 様の購買行動を把握することは極めて重要です。
近年、POSデータはオルタナティブデータ(※)の一種として、従来活用されていなかった業種・業界でも活用が広がっています。
※オルタナティブデータ:
これまで投資判断のために用いられてきた財務情報等の公開情報とは異なるデータ。POSデータをはじめ、クレジットカードデータ、衛星画像、SNSデータ等などが挙げられる。
ID-POSデータとの違いと使い分けのポイント
最近では、ID-POSデータもPOSデータ同様、お客様の心の動きを反映したデータとして活用が進んでいます。 この2つのデータには、どのような違いがあるでしょうか?
ID-POSデータは、性別や年代などの顧客属性情報を含めたデータですので、例えば「40代女性が○月×日、新商品Aを初めて購入。1週間後、また新商品Aと同じブランドで別フレーバーの商品Bを一緒に購入した」などがわかり、人を軸にした購買行動を深く理解することができます。一方、POSデータでわかるのは“いつ”“どこで” “なにが”購入されたかという、シンプルな内容です。
では、ID-POSデータがあればPOSデータは不要でしょうか。答えはノーです。理由は大きく3つあります。
1. データボリュームと多様性
一般的にPOSデータはデータボリュームが大きい点が特長です。そのため、市場POSデータ(複数の小売り チェーンからPOSデータを収集し合算することで、市場全体を現すデータとして広く活用されているPOSデータ)は、エリアの網羅性、店舗・チェーンのカバー範囲、データ保持期間などの面から、市場全体のトレンドや消費動向を把握するのに適したデータです。
概要
- ●アクティブ店舗数:1,500(アクティブ店舗数)
- ●業態:食品スーパーマーケット、ドラッグストア
- ●提供データ:食品、日用品(食品スーパーマーケットのみ)
- ●データ粒度:日次、週次、月次、年次
- ●エリア:全国10エリア(食品SM)・都道府県データ
- ●過去データ:2002年4月〜(食品SM)
2. シンプル構造で迅速かつ組み合わせ分析に最適
POSデータはデータ構造がシンプルなので、Excel等で簡単に集計・加工できます。高度なデータ処理スキル は不要、データ分析にも特別なリソースや大きなコスト、分析時間がかからず、その分、幅広い活用や早期分析による迅速な意思決定に適しています。また、他のデータと組み合わせて 使いやすい点も大きなメリットです。
3. 基本データとして幅広い活用に適している
長期トレンドやカテゴリー・商品別動向、平均価格の変化など、基本的な市場の変化・流れを把握する以外に、 下記のようなピンポイントの動向把握にも適しています。
- 年末年始などの催事
- イベントごとの販売動向
- エリア別の動向比較
- 年金支給日の販売動向
- 消費税増税前後の購買行動
- 酒税改正前後の動き
POSデータは社会の基本データとして業種、官民を問わず、幅広く活用されているデータです。
POSデータで概要をつかみ、より深く把握したい点をID-POSデータなどを使って、深掘り分析するのがオススメです。
POSデータから、具体的に何がわかるの?
小売業の現場でお客様がとった購買行動を客観的に数値化したデータとして把握することができます。つまり、あらゆるカテゴリーや商品の動きが明らかになることで“お客様の心の中”が可視化できるので、次のビジネス展開に向けて有効な対策や戦略を立てやすくなります。
例1長期トレンドを見る調味料と冷凍食品で明暗分かれる
調味料はダウントレンド。2022年は2010年比で9%縮小。冷凍食品の前年比はプラス/マイナスを行き来しているが、2010年比では2桁増。調味料、冷凍食品とも2020年は大幅プラス。コロナ禍の外出自粛等による 生活の変化がPOSデータに現れている。
例2エリアで比較するインスタント袋麺は西高東低?
インスタント袋麺の金額/販売店千人は概ね西日本が高く、前年比も同様の傾向。食生活への定着度合やオケージョン等が、エリアによって異なっていると推察される。
例3売れ筋商品を見るカップ麺の上位に新商品がランクイン
カップヌードルの期間限定新商品“特上”シリーズ(2023年9月11日発売)は4品とも上位。発売週にお客様に支持(購入)され、通常版「カップヌードル」を上回った。
例4値下げ(特売)の効果158円までは反応は鈍い
炭酸飲料商品(1.5L)は、値上げによって主力価格が前期の158円から168円、178円に分散。158円以上の価格では数量PIに大きな差は見られない(特売の効果は大きくない)。148円以下で、反応が一気に高まる。
POSデータ活用で期待される効果
POSデータを通して、お客様の心理・行動を具体的な数値で知ることにより、既存ビジネスの売上向上・利益拡大、新規ビジネスの機会発見につなげられます。
食品メーカー様
- ものづくりに活かせる
- お客様から支持されているアイテムやカテゴリー、付加価値を発見することで、自社のものづくりに活かせます。
- 営業戦略に活かせる
- 新しい売り方やより効果的な売り方提案、適正価格の提案によって、お客様の支持の獲得、利益確保が期待できます。
- 小売業様に貢献できる
- お客様の購買行動(客観的事実)を基にした、売れる売場提案が可能です。
その他企業様
これまでPOSデータを活用していなかった企業様もPOSデータを取り入れることにより、既存ビジネスの売上向上・利益拡大が期待できるほか、新しいビジネスチャンス発見の可能性が広がります。
POS
データ
なら!
- ●自社保有データやオープンデータと組み合わせやすい
- ●活用法によって、自社独自の価値提供につながる
- ●マーケティング活動の精度向上に役立つ