酒税改正から約2か月経過。その後の動向は？

発行日：2023年12月8日
KSP-POS マーケットトレンドレポート Vol.172

＊POSデータの対象店舗数、抽出期間等は巻末参照。

ビール系　カテゴリー推移

ビール系（ビール、発泡酒、第3のビールの合計）の売上金額は、10月に入ると前期当期とも大きく減少。当期の2023年10月は酒税改正（第3のビールは増税、ビールは減税）、前期の2022年10月は卸売価格値上げの影響がうかがえる。前期当期で比較すると10月は前年比プラス、11月中旬以降はマイナスに転じている。

▲KSP-POS食品SM（全国、2023年9月4日週～11月27日週）

増税になった第3のビールは10月以降シェアが縮小し、減税になったビールはシェアが拡大。11月に入ってからは徐々に元に戻りつつあるが、直近11月27日週でも9月上旬と比較するとまだこの傾向が続いている。直近の前年比では、ビールは101％と微増、第3のビールは89％とマイナス幅が大きい。

▲KSP-POS食品SM（全国、2023年9月4日週～11月27日週）

容量別

ビールの容量別シェアは大きく変わらないが、第3のビールは増税直前の9月下旬に24本入のシェアが大幅に増え、10月に入ると縮小。代わりに単品や6本入のシェアが拡大。その後、少しずつ元に戻っており、直近11月27日週は9月4日週と比較して、単品はプラス0.45ポイント、6本入りはプラス0.71ポイント、24本入りはマイナス0.74ポイントとほぼ同程度のシェア。増税→買いだめによる家庭内ストックは11月末にはほぼ終了している事が想像できる。

▲KSP-POS食品SM（全国、2023年9月4日週～11月27日週）

メーカー別

ビール系合計でのメーカー推移を見ると、最もシェアが大きいアサヒビールは10月は前年プラスでシェアも拡大していたが、11月以降マイナスに転じ、シェアも元に戻りつつある。麒麟麦酒もアサヒビールと前年比推移の傾向は同様。サントリーは前年比プラスが継続していたが、11月中旬頃からマイナス。2023年11月現在、上位4社で唯一前年プラスなのはサッポロビールで11月27日週は104％、シェアも拡大している。

▲KSP-POS食品SM（全国、2023年9月4日週～11月27日週）

ビールのメーカー推移を見ると、10月は各社前年プラス基調、11月中旬頃からマイナスに転じるメーカーが目立っている。その中でサッポロビールは大幅プラスが続いており、直近11月27日週は前年比113%。シェアも大きく拡大している。

▲KSP-POS食品SM（全国、2023年9月4日週～11月27日週）

第3のビールはメーカーシェアには大きな変動は見られない。10月以降、各社とも前年マイナス基調。

▲KSP-POS食品SM（全国、2023年9月4日週～11月27日週）

サッポロビール

ビールのシェア拡大、前年プラスが目立ったサッポロビール。糖質、プリン体70％オフの新商品ナナマル（KSP-POS出現日：2023年10月13日）の登場、また飲食店で「赤星」として親しまれているサッポロラガービールが2023年10月30日より数量限定発売となり、ナナマル、ラガービール共に自社ビールカテゴリー内で最大約10％のシェアを獲得。定番商品の黒ラベルとサッポロクラシックについても、前年比大幅プラスを継続している。

▲KSP-POS食品SM（全国、2023年9月4日週～11月27日週）

▲KSP-POS食品SM（全国、2023年9月4日週～11月27日週）

スーパードライ　ドライクリスタル

アルコール度数3.5％のスーパードライ、「スーパードライ ドライクリスタル」が2023年10月に発売（KSP-POS出現日：2023年10月6日）。発売直後の10月9日週には、ビールのアイテムランキングで6位にランクイン。複数本入りではない単品での売上ではスーパードライを抑えて1位の金額となった。

▲KSP-POS食品SM（全国、2023年10月2日週～11月27日週）

▲KSP-POS食品SM（全国、2023年10月9日週）

＊KSP-POSの平均価格、金額は全て税抜です。

調査概要

POSデータ： KSP-POS　週次データ
期間 ：週次2023年9月4日週～11月27日週
地域 /店舗数　： 全国　約830店舗

参考
サッポロビールホームページ　https://www.sapporobeer.jp/
アサヒビールホームページ　https://www.asahibeer.co.jp/

＊KSP-POSは全国約1040店舗の食品スーパーから収集した販売情報データベースです。

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