POSデータ

分析講座 第28回 市場POSデータ分析:上級③

今回は日次データ分析を紹介していきます。

 

POSデータを分析する大きな目的の一つは、現状を把握し、必要に応じて対策を立案し、実行につなげることです。

 

特に、新商品の発売や、価格改定、大規模なプロモーションを行った時は、できるだけ早く売り上げ状況を把握することが大切です。その際には、週次データより早く結果を把握できる日次データを活用することが有効です。

上記のグラフは、前年から存在するアイテムですが、価格改定して平均価格が前年より高いレベルで推移しています。

しかし、直近になってくると平均価格の差が前年と同水準になっている日が多く、これが意図的なものでなければ、今後平均価格がどのように推移していくかは、注視していく必要があります。

 

データ出典:KSP-POS

分析講座 第27回 市場POSデータ分析:上級②

今回も前回に引き続き、併売分析(併売店分析)を紹介していきます。

 

今回は、自社既存品とのカニバリゼーションを時系列で分析しています。

 

期間が時系列であっても、基本的に注目すべきポイントは、前回紹介した内容と同じです。しかし、新商品や期間限定品と比較する場合は、発売直後は既存品売上に影響があっても、しばらく経つとカニバリゼーションの度合いが減少するケースもありますので、時系列で分析することで誤解を防ぐことができます。

上のグラフを見ると、期間限定アイテムBとの併売店でも既存アイテムAの数量PIは落ち込んでおらず、カニバリゼーションは発生していないことがわかります。

 

期間限定品を発売しても、カニバリゼーションが発生しないことを、このような客観的データで小売店へ提示できると、期間限定品の採用率が高まることが期待できます。

 

併売分析(併売店分析)を行う注意点としては、併売していない店舗と併売店舗ともに、少なくとも10%の販売店率がある条件で比較する必要があることです。併売していない店舗が5%、併売店舗が95%の状況で比較しても、併売していない店舗のサンプル店舗数が少なすぎて、意味のある数字とは言えません。

 

 

*株式会社KSP-SPでは、本記事の併売分析(併売店分析)をスポット提供しております。ご興味のある方はお問合せください。(リンク先 https://www.ksp-sp.com/contact_us/

 

データ出典:KSP-POS

分析講座 第26回 市場POSデータ分析:上級①

今回から市場POSデータ分析の上級編として、通常の市場POSデータではできない分析方法を紹介していきます。

 

まず、最初に紹介するのは、併売分析です。

 

どのカテゴリーでも基本的に競合品が存在します。併売分析では、その競合品がどの程度、自社商品の売上に影響しているのかを把握することができます。また、他社商品だけでなく、自社が期間限定品などを発売することによって、既存品とのカニバリゼーションの状況を把握することも、製品戦略上、大切になってきます。

以下のグラフは、競合品の影響を分析した併売分析のアウトプットイメージです。

 

 

左の棒グラフは、自社アイテムAが品揃えされているが、競合品Bは品揃えされていない店舗、右の棒グラフは自社アイテムAと競合品Bが併売されている店舗で、数値は数量PIになっています。

 

自社アイテムAの数量PIは、競合品Bと併売していない店舗、併売店とも4.7~4.8個でほぼ同じ数値となっています。つまり競合品Bの販売の影響は、ほぼ受けていないということが言えます。商品のタイプから競合していると考えられる他社商品があっても、併売分析をしてみると、売上の影響はほとんど受けていない結果となることは良くありますので、一度分析してみてください。

 

*株式会社KSP-SPでは、本記事の併売分析(併売店分析)をスポット提供しております。ご興味のある方はお問合せください。(リンク先 https://www.ksp-sp.com/contact_us/

 

データ出典:KSP-POS

ワード解説 加重販売店率

該当商品が販売されている店舗の売上金額総計÷全店舗売上金額総計

 

販売店率は、「どれぐらいの割合の店舗で販売されているか」という視点で見る場合には有効ですが、「販売規模が大きいお店で販売されているか」ということはわかりません。せっかく商品を販売するなら、より売上の規模が大きく、たくさんお客様がいらっしゃるお店に置く方が売れる可能性が高く効率的です。

販売店率と比較し、効率的に配荷されているかどうかを判断する指標です。

 

ワード解説 最頻平均価格

出現頻度の最も高い売価(1円単位)

→ 最頻平均価格は163円

 

最大出現回数の価格と言うこともできます。この値段(店の平均)で売っている店が多いということです。

 

最頻平均価格=定番価格となることもあり、定番価格や定番特売などの情報とみることができます。

 

※KSP-POSの週次・月次検索における最頻価格の考え方

 

ステップ1) 抽出期間における平均価格を店舗毎に算出
ステップ2) 店舗毎の平均価格から最頻価格を導出

→週単位や月単位の最頻価格です。日々のPOSデータによる厳密な値ではありません。

分析講座 第25回 小売店POSデータ分析⑤

今回で、小売店POSデータ分析は最終回です。

 

小売店POSデータ分析は市場POSデータと比較して、ギャップを見つけることが基本と以前書きました。今回はアイテム分析において、小売店では販売されていない商品を提案する分析です。

 

小売店で自店では販売していないが、市場では良く売れている商品がないか、ということは常に気にしています。

 

以下は、市場POSデータのアイテムランキングで、青色のアイテムが提案する小売チェーンAでは販売されていないアイテムです。

 

市場で3位のアイテムが小売チェーンAでは販売されておらず、特別な理由がなければ、このアイテムは死筋商品に替えて、配荷すべきです。

 

小売店POSデータ分析の目的は、店舗の売上を高めるためですので、より売れる商品を品揃えすることを検討します。メーカーの立場では、自社の商品を配荷してほしいですが、自社の商品を置けば店舗の売上アップに貢献できることを、客観的に提案していくことが大切です。

 

 

データ出典:KSP-POS

ワード解説 平均価格中央値

店別期間平均価格の中央値

 

→ 中央値は(150円+152円)÷2=151円

 

 

順に並べていって、中央値=累積50%の店舗を含む価格。分布に偏りがなければ、最高と最低の間の値になります。平均価格中央値の変化は、特売店舗増減の参考指標とすることもできます。

 

※KSP-POSの週次・月次検索における中央値の考え方

 

ステップ1) 抽出期間における平均価格を店舗毎に算出
ステップ2) 店舗毎の平均価格から中央値を導出

→週単位や月単位の中央値です。日々のPOSデータによる厳密な値ではありません。

分析講座 第24回 小売店POSデータ分析④

今回も引き続き、アイテム分析の方法を見ていきます。

 

小売店POSデータと市場POSデータの最も違う点の1つは、小売店POSデータでは、店舗別のデータまで見ることができることです。

 

前回は、1店舗あたりの売上が高いのに、全店舗で配荷されていない状況を見ました。
その際は、店舗別にデータを見て、具体的にどの店舗では配荷されていないのかをチェックすることで、「〇〇店と〇〇店ではこの商品が現在販売されていないですが、この商品は置けば他の商品より売れることがデータから明確です。」と提案することができますね。

 

 

資料に今後配荷すべき店舗が書いていれば、小売店のバイヤーも提案内容を忘れずに、実行してもらえる確率が高まります。

 

次回は小売店POSデータ分析の最終回として、アイテム分析のもう一つのパターンをご紹介します。

 

 

データ出典:KSP-POS

ワード解説 最低価格

店別期間平均価格の最小値

 

→ 最低価格は87円

※KSP-POSの週次・月次検索における最低価格の考え方

 

ステップ1) 抽出期間における平均価格を店舗毎に算出
ステップ2) 店舗毎の平均価格から最低価格を導出

→週単位や月単位の最低価格です。日々のPOSデータによる厳密な値ではありません。

分析講座 第23回 小売店POSデータ分析③

今回は、前回の分析の続きで、小売店POSデータのアイテム分析のアウトプットをご紹介します。

 

以下はチェーンAのコーヒー飲料のアイテムランキングTOP15です。

 

売上上位アイテムのほとんどが前期比プラスですが、7位と13位のアイテムだけが前期比マイナスになっています。この2つのアイテムについて、右から2つ目の指標である「実績店数」に注目してください。チェーンAは50店舗を展開していますが、上位アイテムのほとんどが45店舗以上で販売されています。

 

ただし、アイテム7とアイテム13は30店舗前後でしか実績がありません。
さらに注目すべきは、一番右の指標である金額/店です。アイテム7と13の1店舗あたりの金額は、5位以下のアイテムより高い数値になっている、つまり、販売すれば他の上位アイテムより売れるということができます。

 

もし、メーカーが小売店に提案する際、自社商品がアイテム7や13のように、1店舗あたりの売上は高いのに全店舗で配荷されていない状況であれば、自信を持って小売店に品揃えを提案することができますね。

 

 

次回も小売店POSデータのアイテム分析の方法を見ていきます。

 

データ出典:KSP-POS