効く「お試し価格」、効かない「お試し価格」

新商品やリニューアル商品の販促でよく使われる「お試し価格」。通常よりも安い価格で提供し、まずは手に取ってもらうことを目的としていますが、果たしてその効果はどれほどあるのでしょうか?

ある食品スーパーで実施されたお試し価格キャンペーンでは、新しいヨーグルト商品を通常価格の20%引きで1週間販売しました。結果、通常販売時に比べて販売個数は約3.2倍に増加。想像以上の反響があったことがデータからわかります。特に、初日と週末に集中して売れたことから、「話題性」と「試してみよう」という気持ちが購買行動を後押ししたと考えられます。

さらに注目すべきは、お試し価格終了後の販売動向です。割引が終わった翌週以降でも、「お試し価格」実施前よりも販売が高く、継続購入に一定の効果があったことが示されました。リピート率は通常の新商品より高く、価格の魅力だけでなく「商品そのものの満足度」が購買につながった可能性があります。

一方で、お試し価格があまり効果を発揮しなかったケースもあります。例えば、価格差が小さすぎたり、商品自体の認知が低かったりする場合には、POSデータ上でも大きな動きは見られませんでした。また、売場で目立たない位置に陳列されていた商品は、お試し価格であっても購入されにくい傾向が見られました。

このように、「お試し価格」は適切に設計すれば非常に効果的なプロモーション手法であることが、POSデータからも明らかです。重要なのは、価格だけでなく、「認知」「陳列」「タイミング」といった複数の要素を掛け合わせることです。データに基づいて検証と改善を繰り返すことで、より効果的な販促施策を展開することができるでしょう。

SNSでもご購読できます。