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レジ前商品が狙う“ついで買い”の正体とは?

スーパーやコンビニのレジ周りには、ガムやチョコレート、小さなスナック菓子などが並んでいます。いわゆる「レジ前商品」と呼ばれるこれらの商品は、「ついで買い」を狙った配置とされていますが、実際にどれほどの効果があるのでしょうか?POSデータを分析することで、その実態を探ってみました。

あるコンビニのPOSデータをもとに、レジ前商品の販売動向を調べたところ、確かに他の棚の商品と比べて「単品購入率」が高いことがわかりました。つまり、レジ前の商品は「ほかの商品と一緒に買われる」のではなく、「それ単体で買われる」ことが多いのです。特に、仕事帰りの時間帯や週末の午後にその傾向が顕著に表れていました。これは、ちょっとした気分転換やおやつとしての需要が高いことを示しています。

また、レジ前商品の種類によって売上に違いがあることも明らかになりました。例えば、ガムやミントタブレットは朝と昼の時間帯に、チョコレートやスナック菓子は夕方以降に売れやすい傾向がありました。これは、朝の通勤・通学前に口臭ケアとしてガムが買われたり、夜に甘いものを求める消費者が増えたりするためと考えられます。さらに、レジ前に新商品を置くと、通常よりも売上が伸びるケースが多いことも確認できました。これは、消費者が会計時に目新しさを感じ、思わず手に取るケースが多いためと考えられます。

しかし、すべてのレジ前商品が必ずしも売れるわけではありません。POSデータを分析すると、商品の種類や価格によって売れ行きに大きな差があることがわかります。例えば、高価格帯の商品や目立ちにくいデザインのものは、レジ前に置かれていてもあまり手に取られない傾向があります。逆に、小さいサイズで手頃な価格の商品は「ついで買い」されやすく、売上に貢献しやすいことがわかりました。

このように、レジ前商品の効果は決して一概には語れませんが、適切な商品選びと配置によって売上を伸ばすことが可能です。POSデータを活用し、時間帯や客層に合った商品を配置することで、より効果的な販売戦略を立てることができます。

POSデータが明かす意外な人気商品

POSデータを分析していると、思いもよらない商品が売れ筋になっていることに気づくことがあります。今回は、そうした「意外な人気商品」についてお話しします。

あるスーパーのPOSデータを分析した際、特定の即席スープが予想以上に売れていることがわかりました。このスープは特に広告が打たれているわけでもなく、棚の目立つ場所に置かれていたわけでもありません。しかし、販売数を詳しく調べると、特定の時間帯に集中して売れていることが判明しました。そこで、レシートデータと照合したところ、同じ時間帯にパンやサラダを購入しているお客様が多いことがわかりました。これは、昼食需要の高まりと関係していると考えられます。

また、別の店舗では、ある地域でのみ「小さなボトル入りの醤油」が売れ続けていました。通常サイズの醤油よりも割高であるにもかかわらず、なぜ売れているのか不思議に思い、購入者層を分析してみました。すると、この店舗の近くには単身者向けの賃貸物件が多く、小さなサイズの醤油の需要が高いことがわかりました。単身者にとっては、醤油を大きなボトルで購入すると使い切れずに余ってしまうため、少量サイズの方が便利だったのです。

このように、POSデータの分析によって、通常の売れ筋ランキングでは見えにくい「隠れた人気商品」を見つけることができます。そして、その背景には必ず顧客の生活スタイルや購買行動が関係しています。データをもとに消費者の行動を読み解くことで、新たな売上向上のヒントが見つかるかもしれません。