2022年 12月 の投稿一覧

分析講座 第14回 市場POSデータ分析:初級⑬

今回は、エリア分析について紹介します。

 

エリア分析は、基本的にメーカーやアイテムのエリア状況だけでなく、カテゴリー計と比較して、そのギャップを見つけることがポイントです。

 

エリアの県構成はデータにより異なり、自社の営業エリアの県構成と違うことがありますので、注意してください。

 

 

前年からの伸び率は、すべてのエリアでプラスとなっていますが、カテゴリー計では九州や北海道が高く、首都圏や東海、近畿の伸び率は相対的に小さくなっています。

 

カテゴリーのエリア別状況と自社のエリア別状況を比較し、自社として強化していくべきエリアはどこなのかなどを検討していくことがエリア別分析では大切です。今回の例では、メーカーAはカテゴリー計の伸び率よりすべてのエリアで伸び率が高くなっていますが、あえて挙げるのであれば、北関東はカテゴリー計の伸び率とほぼ同じなので、強化の余地がありそうですね。

 

ここまで、様々なPOSデータ分析を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

 

 

次回からは、中級編として、いくつかのデータ指標を紹介していきます。

 

 

データ出典:KSP-POS

分析講座 第13回 市場POSデータ分析:初級⑫

今回は、週次のトレンド分析について、前回とは違ったアウトプットを紹介していきます。

 

2022年に入っても新型コロナウイルスは終息していませんが、それに加えてロシアのウクライナ侵攻も影響し、原価高騰などにより多くの商品が値上げされています。

 

 

以下は、2022年3月から値上げされた商品の状況です。

 

 

2022年のように、ほとんどの商品が値上げされる状況では、値上げの影響で棚からカットされる可能性は低いため、見るべき指標を絞り込んだほうが、アウトプットは分かりやすくなります。

上記の商品は、3月からの値上げを発表していましたが、3月初週から徐々に平均価格が上がっていき、4月下旬にほとんどの店舗で価格改定が完了した様子がうかがえます。平均価格が上がっていく中でも、1店舗あたりの販売数量は同水準で推移しており、値上げによる販売減は起こっていません。少なくてもこの時点では、値上げによる販売への影響は見られないと言うことができるのではないでしょうか。

 

月次や週次でデータを見るとデータ量がどうしても多くなり、見る側からするとどこを見てよいのかわかりづらくなりますので、指標を絞り込んで、ポイントを見やすくする工夫も大切です。

ただし、今回の例は季節性がない商品でしたが、季節性のある商品であれば、前年比もチェックする必要がありますので、注意してください。

 

次回からは、違った切り口でのPOSデータ分析を紹介していきます。

 

データ出典:KSP-POS

ワード解説 平均価格

平均価格は、金額 ÷ 数量 という数式で算出され、商品が平均して1ついくらで購入されたかを表します。

 

平均価格は最もよく売れた価格が大きく反映されます。通常、特売が実施されると販売数量が定番時よりも増加するため、平均価格は定番価格よりも低くなる傾向があります。安くてたくさん売る店舗の影響が出やすいので、相対的に低めになります。

 

下記の例ですと、定番価格は300円ですが、土日に特売が実施され販売個数が増加したため、1週間の平均価格は特売価格の影響が大きく反映され、定番価格より低めの247円になります。

 

平均価格は販売金額、販売数量と整合性があり、一般的でわかりやすいのでよく使われる指標ですが、安い値段で大量に販売されると、大きく平均価格が下がるため、多くの店舗での動向とは異なることがあるので注意が必要です。

尚、KSP-POSの価格は税抜きです。

 

ワード解説 数量

数量は、商品が販売されて得た総数(個数・本数など)です。

数量は、データ収集店舗の日別データを積み上げ、商品合計の販売数量・メーカー計・エリア計・全国計・期間計などの合計数量を集計しています。

 

KSP-POSは食品スーパー約1,000店舗(ドラッグ約400店舗)のデータ集計なので、実数自体には意味はなく、伸長率や構成比といった指数を使って分析する場合に適しています。

KSP-POSの数量は個数(本数など)のみをご提供しており、キログラム・リッターなどへの量換算はしておりません。500MLのペットボトルも1Lのペットボトルも1本、1缶のビールも6缶パックのビールも1個と数えています。

従って、検索する内容によって、伸長率や構成比を見るのに適さない場合があるのでご注意ください。
例えば、緑茶500MLのペットボトルだけを集計して前年比などを比較するのであれば問題はありませんが、緑茶500MLと1Lのペットボトルを合算して集計する場合には、異なる量の製品を個数で比較することになるので、伸び率などの検証には適しません。

 

ワード解説 金額

金額は、商品が販売されて得た金銭の総額(円)です。
金額は、下記の数式で表現することができます。

購入された商品の価格 × 商品が購入された個数

 

金額は、データ収集店舗の日別データを積み上げ、商品合計の売上金額・メーカー計・エリア計・全国計・期間計などの合計金額を集計しています。

KSP-POSは食品スーパー約1,000店舗(ドラッグ約400店舗)のデータ集計なので、実数自体には意味はなく、伸長率や構成比といった指数を使って分析する場合に適しています。

上記の数式からわかるように、金額は「商品の売価」によって変動します。従って、特売や値上げといった理由でデータが変動するので、データを読み取る際に注意が必要です。

 

また、上記の数式をさらに細分化することができます。

購入された商品の価格 × 販売店舗数 ×  1店当たりの商品が購入された個数

販売店舗数は「営業力=間口の拡がり」を、1店当たりの商品が購入された個数は「商品力=奥行の深さ・商品の回転」を示しているので、金額は営業力と商品力を合わせた結果と言うことができるでしょう。
尚、KSP-POSの金額には消費税は含まれていません。

 

分析講座 第12回 市場POSデータ分析:初級⑪

前回に引き続き、今回もトレンド分析の方法を紹介していきます。

 

前回は月次のトレンド分析でしたが、より細かな動きを見る場合は、週次でトレンドを見ていきます。特に新商品発売時は、販売の推移を見るだけでなく、以前に紹介した販売店率・1店あたりの販売個数・平均価格に分けることにより、課題が発見しやすくなります。

 

 

以下は、2022年2月に発売されたある新商品の推移です(2月7日週は一部店舗で先行販売)。

 

 

販売店率は発売週から70%を超え、4月には80%近くになり、順調に配荷が進んでいることがわかります。

1店あたり販売数量は発売週が80個近くになり、その週の平均価格が低くなっていることから、発売時に多くの店舗でプロモーションを実施したことが考えられます。平均価格は4月から下がってきていますが、週販(数量/店)は20~30個で安定しており、価格を下げても販売増にはつながっていないため、販売価格の設定が今後の課題と考えられます。

 

 

今回は新商品の1アイテムのみでPOSデータを見ましたが、競合商品と比較して分析するとさらに発見があります。

 

 

次回も週次のトレンド分析を紹介していきます。

 

 

データ出典:KSP-POS