値上げ

分析講座 第31回 市場POSデータ分析:上級⑥

今回も店別日次データを活用した価格分析について、前回の続きを見ていきます。

 

 

 

 

上記の2つのグラフは、上が価格帯別の販売状況、下が価格帯別の出現回数と平均価格の推移です。

 

下のグラフは、前回の出現構成比を実数で表示したもので、基本的に見方も同じですが、出現構成比ではなく出現回数で見ると、値上げ後の総出現回数が若干減少しており、一部店舗で品揃から外された可能性があります。

 

また、値上げすることで販売がどうなるのかが気になるところですが、上のグラフを見ていただくと、当期の4月以降も販売は大きく下がっていないことがわかります。
ただし、値上げ後で販売の高い週は例外なく320円以下の販売が大きくなっており、低価格販売による販売増をどのように判断していくかは、今後の課題と言えます。

 

データ出典:KSP-POS

分析講座 第30回 市場POSデータ分析:上級⑤

今回から「店別日次データ」を活用した価格分析を紹介していきます。

 

価格分析において、一般的な平均価格ではなく、店別日次データがなぜ必要なのか、という点については、前回の第29回で説明していますので、そちらをご覧ください。

 

 

上記は、黒色の折れ線グラフが一般的な平均価格、棒グラフが店別日次データによる価格帯別出現構成比の推移で
す。販売構成比ではなく、出現構成比ですので、注意してください。

このアイテムは前期の3月と当期の4月に値上げ発表があり、実際に店頭でも値上げが実施されています。当期の値上げに注目すると、値上げ後の平均価格が週により320円から360円で推移しており、週によりバラツキがありますが、価格帯出現構成比で見ると、361円以上(青色系)の構成比が増加していることがわかります。

 

平均価格だけ見ていると、値上げ後も店頭では340円から360円程度で販売されているように誤解が生じてしまいますが、実際はそうではないことが、店別日次データの積み上げによるデータではわかりますね。

 

今回は価格の出現だけ見ましたが、POSデータですので、当然販売の状況も同時に見ていく必要があります。次回は、販売の状況を見ていきます。

 

 

データ出典:KSP-POS

分析講座 第13回 市場POSデータ分析:初級⑫

今回は、週次のトレンド分析について、前回とは違ったアウトプットを紹介していきます。

 

2022年に入っても新型コロナウイルスは終息していませんが、それに加えてロシアのウクライナ侵攻も影響し、原価高騰などにより多くの商品が値上げされています。

 

 

以下は、2022年3月から値上げされた商品の状況です。

 

 

2022年のように、ほとんどの商品が値上げされる状況では、値上げの影響で棚からカットされる可能性は低いため、見るべき指標を絞り込んだほうが、アウトプットは分かりやすくなります。

上記の商品は、3月からの値上げを発表していましたが、3月初週から徐々に平均価格が上がっていき、4月下旬にほとんどの店舗で価格改定が完了した様子がうかがえます。平均価格が上がっていく中でも、1店舗あたりの販売数量は同水準で推移しており、値上げによる販売減は起こっていません。少なくてもこの時点では、値上げによる販売への影響は見られないと言うことができるのではないでしょうか。

 

月次や週次でデータを見るとデータ量がどうしても多くなり、見る側からするとどこを見てよいのかわかりづらくなりますので、指標を絞り込んで、ポイントを見やすくする工夫も大切です。

ただし、今回の例は季節性がない商品でしたが、季節性のある商品であれば、前年比もチェックする必要がありますので、注意してください。

 

次回からは、違った切り口でのPOSデータ分析を紹介していきます。

 

データ出典:KSP-POS