トレンド分析

なぜ売れてる?なぜ落ちてる?仮説で読み解くトレンド分析

バイヤーとトレンド分析について話す際に、よく以下のような事を聞かれます。

「どうしてこんな数値の動きになっているのかな?」 

「消費者の動向はどうなっているのだろう?」

こうした質問に対して、毎回きちんとした消費者調査を行うのは現実的には難しいこともあります。
そこで、新聞やネットニュースなどのメディア情報をヒントに、仮説を立てて伝えてみるのもひとつの方法です。

 

例えば、今回のケースでは、次のような仮説をもとに、バイヤーと意見交換ができるかもしれません
・炭酸飲料は、家庭で作れる炭酸メーカーの人気が影響しており、スーパーの売上に影響を与えている可能性があるのでは?
・ドリップコーヒーなど家庭向け商品の需要が増えており、それがコーヒー飲料の売上を支えているのでは?

 

バイヤーは他のメーカーからも多くの情報を得ています。
こちらが仮説を伝えることで、バイヤー自身がその裏付けを集め、情報を補ってくれることもあります。
また、こうしたやり取りによって、認識の共有ができれば、次回の提案にも活かすことができます。
目の前の売上だけでなく、長期的な信頼関係づくりにもつながるので、ぜひ活用してみてください。

 

売上拡大のカギは“見極め力” トレンド分析を活用した戦略提案

バイヤーは「カテゴリー全体の売上」をどの様に拡大させていくか、日頃から悩まれています。

売上が伸びているカテゴリー、そうでないカテゴリーを見極めながら、
商品のラインナップや特売の計画を立案しており、
その判断の材料としてよく使われるのが、「トレンド分析」です。この記事では、そのトレンド分析についてご紹介します。

 

~トレンド分析とは?~
過去およそ5年間の推移を見て、市場が拡大もしくは縮小しているのかを明らかにする分析方法です

下のグラフ①が、そのトレンド分析の例です。ご覧になった事がある方も多いかもしれません。
※グラフは架空のデータです。参考までにご覧ください。

 

グラフ① 市場トレンド分析(2017年4月-2018年3月を100として)

 

市場規模の推移を見ると、炭酸飲料は少しずつ売上が減ってきている一方で、コーヒー飲料は安定して売上が伸びています。
この流れが今後も続くと想定するならば、商品のラインナップや特売の割合を少しずつ見直し、
売上が好調なコーヒー飲料に力を入れていく事で、長期的には安定した売上の増加が期待できるでしょう。

こうした傾向は定期的に確認し、必要があれば商談の際の資料にも取り入れていくと良いのではないでしょうか。

分析講座 第12回 市場POSデータ分析:初級⑪

前回に引き続き、今回もトレンド分析の方法を紹介していきます。

 

前回は月次のトレンド分析でしたが、より細かな動きを見る場合は、週次でトレンドを見ていきます。特に新商品発売時は、販売の推移を見るだけでなく、以前に紹介した販売店率・1店あたりの販売個数・平均価格に分けることにより、課題が発見しやすくなります。

 

 

以下は、2022年2月に発売されたある新商品の推移です(2月7日週は一部店舗で先行販売)。

 

 

販売店率は発売週から70%を超え、4月には80%近くになり、順調に配荷が進んでいることがわかります。

1店あたり販売数量は発売週が80個近くになり、その週の平均価格が低くなっていることから、発売時に多くの店舗でプロモーションを実施したことが考えられます。平均価格は4月から下がってきていますが、週販(数量/店)は20~30個で安定しており、価格を下げても販売増にはつながっていないため、販売価格の設定が今後の課題と考えられます。

 

 

今回は新商品の1アイテムのみでPOSデータを見ましたが、競合商品と比較して分析するとさらに発見があります。

 

 

次回も週次のトレンド分析を紹介していきます。

 

 

データ出典:KSP-POS

分析講座 第11回 市場POSデータ分析:初級⑩

今回は、トレンド分析について見ていきます。

 

テレビCMなどの消費者プロモーションや価格改定、市場に影響を与える大きな出来事があった時は、大きく売上が変化することがありますので、その際は前期などとの比較だけでなく、時系列で見ていくとわかりやすくなります。

 

2020年から新型コロナウイルスのまん延により、3月から学校は休校となり、4月~5月は全国的に緊急事態宣言が発令されました。その結果として、外出の自粛により巣ごもり需要が増加したことは、皆さんご存じと思います。

 

以下は、味噌カテゴリーの月別販売金額推移です。

 

 

共働き世帯の増加とお湯に溶かすだけで作ることができる即席味噌汁の普及などにより、味噌市場は縮小傾向にありました。しかし、学校の休校が始まった2020年3月から前年比プラスに転じ、緊急事態宣言発令の4月は前年比110%となりました。

その後も9月以外は、前年比プラスで推移していることがわかります。(2019年10月から消費税が増税されました。食品は軽減税率の対象でしたが、増税前の9月はついで買いなどで前年比増となるカテゴリーが多く見られました)。

 

緊急事態宣言などの出来事はPOSデータではわかりませんので、自社の内部情報やネット検索で調べ、主な出来事は記載しておくと、わかりやすくなりますね。

 

 

データ出典:KSP-POS