店舗運営において悩ましい課題のひとつが「賞味期限間近の商品」の扱いです。値引きをして売り切るのが一般的な方法ですが、実際にそれらの商品はどの程度売れているのでしょうか。
あるスーパーマーケットのデータを分析したところ、賞味期限が当日の商品に対して30%以上の値引きを行った場合、おおむねその日のうちに売り切れる傾向が見られました。特に、パンや惣菜、弁当などの即食性の高い商品は、値引き効果が顕著に表れます。中には、値引きシールを貼ってから1時間以内に売れてしまう商品もあるほどです。
一方で、缶詰や調味料、乾物などの長期保存が可能な商品では、たとえ賞味期限が近づいていても、消費者の購入意欲はそれほど高くないという結果も出ています。これらは「今すぐ食べる」ことが前提になっていないため、消費者も期限に敏感になる傾向があるようです。
また、興味深いのは「値引きの見せ方」によって売れ行きが左右される点です。例えば、単に「30%引き」とするよりも、「本日限り」「賞味期限間近でお買い得!」といったポップを添えることで、売上が1.2倍〜1.5倍に伸びるケースが確認されました。
賞味期限間近の商品をどう売り切るかは、廃棄ロスを減らすうえでも重要なテーマです。POSデータをもとに、どの商品がどのタイミングで、どれくらいの値引きで売れるかを把握することで、より効率的な在庫管理と販売戦略を立てることが可能になります。データを活用すれば、“もったいない”を“売れるチャンス”に変えることができるのです。