分析講座 第15回 市場POSデータ分析:中級①

今回から2回に分けて、PI値の紹介をしていきます。

PI値は小売店でよく使われているデータ指標ですので、利用している方は多いと思いますが、なぜPI値が分析に有効なデータ指標であるのかを理解している方は意外に少ないです。

 

まず、基本知識ですが、PI値とは客数1,000人あたりの販売で、金額ベースを金額PI値、数量ベースを数量PI値と言います。計算式は以下のとおりです。

金額PI値=販売金額÷客数×1,000

数量PI値=販売数量÷客数×1,000

 

PI値は、これまで紹介したデータ指標の中では、「1店舗あたりの販売」と同じ意味合いです。つまり、「商品を品揃えすれば、どれだけ売れるのか」を分析するためのデータ指標であり、商品力と販促力を示しています。

では、1店舗あたりの販売ではなく、なぜPI値を使うのでしょうか。PI値は、1店舗あたりの販売のデータ指標に含まれているあるバイアスを除去することができるのです。

以下の例を見てください。

 

1店あたり販売量を見ると、アイテムBが100個でアイテムAの50個より倍売れており、アイテムBの方が良く売れることになりますが、はたしてそうでしょうか。アイテムAは小型店で販売されているのに対し、アイテムBはGMSで販売されており、この2アイテムの売上の差は商品の力というより、小売店の販売力の差が要因として大きいと言えます。

1店あたりの販売のデータ指標には、配荷している小売店の販売力の要因が入ってしまっているのに対し、PI値は小売店の販売力の要因をできる限り除去したデータ指標であると言うことができます。

 

上記の例をPI値で見た場合、どのようになるのかは、次回見ていきましょう。

 

データ出典:KSP-POS

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