
今回も販売の要因を分析する指標について、続きを見ていきましょう。
前回説明したように、販売金額を分解して要因を分析する3つのパターンのうち、「①販売金額=客数×客単価」は、店舗全体の売上を分析するための分解でした。アイテム別の販売金額を分析する際は、「②販売金額=販売店舗数×1店舗あたりの販売金額」と「③販売金額=販売数量×平均価格」を組み合わせた以下の分解を活用することが一般的です。
販売金額=販売店舗数×1店舗あたりの販売金額(1店舗あたりの販売数量×平均価格)
サンプル調査である市場POSデータでは、販売店舗数の数値自体に意味はないので、「販売店率」と割合で表示します。
以下のような状況の場合、アイテムAとアイテムBの販売金額の差はどこに要因があるでしょうか。
両アイテムの平均価格は同じで、数量/店(1店舗あたりの販売数量)はアイテムBの方が若干高くなっていますので、販売金額の差は販売店率(販売店舗数)の差によるものということがわかります。逆に言えば、アイテムBは店舗に品揃えすれば、アイテムAよりも若干売上が高まるため、販売店率を高めることで、アイテムAの販売金額を上回ることになります。
以下のような場合はどうでしょうか。
販売店率と平均価格は同じなので、販売金額の差は、数量/店の要因が大きいことがわかりますね。
一般的に販売店率は小売りへの営業力、数量/店は商品力を表しています。ただし、数量/店の数値は、商品力だけでなく、価格や販売促進によって変化しますので、注意してください。値引きしてエンド特売すれば、数量/店の数値が高まることはイメージできると思います。
次回は、実際のデータでこれらの指標を見ていきます。
データ出典:KSP-POS