前回は、2023年3月データで値上げの状況をご報告いたしました。
今回は、2023年上期(1月~6月)のデータから最新の値上げ実態と販売の変化を見ていきます。
KSP-POSとは、株式会社KSP-SPが提供する食品スーパーマーケットの市場POSデータです。
店頭での値上げの実態、値上げ後の販売状況などが月次データ、週次データで確認いただけます。詳細はこちら→
2023年上期(2023年1月~6月)は食品全体で6.1%の価格上昇率となった。
2022年上期の対2021年同期上昇率は1.2%であることから、2023年上期の値上げが高水準で推移していることがわかる。特に、飲料と酒類の上昇率が約8%と高い。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
2021年1月以降の月次平均価格上昇率推移から、値上げのペースが加速していることがわかる。
- 加工食品・菓子類:2021年夏頃から値上げが継続。値上げ率は一定ペースで上昇。2023年6月上昇率は、前年同月比で7%前後(2022年6月は同2%台)。
- 飲料・酒類:値上げのタイミングは加工食品・菓子類より約1年遅い。2022年夏から秋に一気に値上げ。その後は8%を上回る月もあり、急激な値上げが見られる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
次に値上げ率が高い分類を見てみる。
2023年上期に平均価格上昇率が高い上位分類は下記の通り。
加工食品:約140分類の内、約23%に当たる33分類が2桁の上昇率。特に、クリーミングパウダーは20%以上の大幅値上げ。
菓子類:その他珍味が上昇率トップ。スナック、パーソナルアイスその他は9%台の上昇率。
飲料:上位5分類は2桁上昇。清涼飲料、果実飲料はすべての分類で上昇。
酒類:みりん、ビールが2桁上昇。全体的に上昇率が高い。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
値上げと数量の前期比で分類を分布すると、約87%の分類は平均価格上昇&販売数量マイナス。
消費者の値上げに対する節約志向がうかがえる。一方、販売数量プラスの分類もあるが全体の10%と少数。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
最後に、アイテム別の平均価格上昇率を見てみる。4分類とも約70%の商品が値上げされている。
値上げされた商品の値上げ率の内訳は、3%未満が最も高く、次いで7%以上または10%以上。
酒類は28%、加工食品・菓子類・飲料は40%弱の商品で上昇率2桁となり、厳しい値上げの現状がわかる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
値上げが大きかった主要商品の販売動向を見てみる。
掲載商品一覧>
クリーミングパウダー 200g
マヨネーズ 450g
コーラ 1.5l
本みりん 1l
2022年10月 前月比+25円、2023年3月前月比+15円。その後も価格は上昇し、2023年6月467円で前年同月比+102円(128%)。
価格上昇前から販売数量は前年割れだったが、価格上昇後はマイナス幅が広がり2023年6月は数量前年比85%となった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
サラダ油・天ぷら油とともに、値上げの代表格として取り上げられるマヨネーズだが、2022年1月以降、平均価格は継続して2桁増。2022年1月平均価格221円、2022年6月230円、2023年6月292円(前年同月比+62円)。着実に値上げが進んでいる。数量前期比は直近80%台となり、買い控えまたは割安なPB商品などへの買い替えが推測される。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
2022年6月に前月比+6円(109%)に上昇し、販売数量が70%台に大幅ダウン。
その後2023年5月に160円台となったが、2023年6月は前年大幅減の裏年となり、販売数量は前年並みにとどまった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
2022年10月に一気に値上げ(前月比+44円)し、その後2桁増。数量は値上げ後一気にダウンし、2023年6月の数量前期比は大幅減の62%となった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
7月以降値上げが予定されている商品も多く、電気代や物流費、資材などのコストも増しており、下期も引き続き値上げ傾向が継続すると推測される。
今後も、KSP-POSを使った最新情報を報告していく。
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