【2023年度下期9月ー2月】食品全体の価格上昇率は5.4%。商品の7割は3%以上値上げ。値上げ率は下がったが値上げは継続。

前回は、2023年9-11月速報データで値上げの状況をご報告いたしました。
今回は、2023年度下期(2023年9月-2024年2月)最新の値上げ実態と販売の変化を見ていきます。

KSP-POSとは、株式会社KSP-SPが提供する食品スーパーマーケットの市場POSデータです。
店頭での値上げの実態、値上げ後の販売状況などが月次データ、週次データで確認いただけます。詳細はこちら→

2023年9月~2024年2月は食品全体で5.4%の価格上昇率となった。2023年度上期の6.6%と比較すると1.2ポイント低下し、値上げ水準は落ち着いたように見える

分類別に見ると、飲料の6.5%が最も高く、酒類が2.3%で最も低い。加工食品、菓子類は5.8%。上昇率は、すべての分類で2023年度上期(2023年3月~9月)より低下しているが、酒類以外は5%の高水準で推移している。

*特に記載がない限り:上期(3月~8月)、下期(9月~2月)
*本レポートでは、食品を約230分類に区分したKSP標準分類を利用。食品を約800分類に区分した詳細分類の問合せはこちら→。

 

出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)

 

2022年3月以降の月次平均価格上昇率推移から、2023年8月~9月頃をピークに上昇率低下がみられるが、それでも4%以上の上昇率が継続。POSデータからは、値上げが一服したとは言い難い状況。

  • 加工食品・菓子類:値上げ率はほぼ一定ペースで上昇。2024年に入り5~6%弱で推移。
  • 飲料:2022年10月から値上げ基調となり、2023年8月~9月の10%弱をピークに低下傾向。
  • 酒類:値上げは2023年春頃がピーク。2022年10月一斉値上げ前の買いだめ(2022年9月)、2023年10月酒税改正前の買い控え(2023年9月)など、値上げ以外の要因で極端な値が見られる。酒税改正後の上昇率は2%程度と低位。

 

出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)

 

次に、値上げ率の高い分類を見てみる。
まずは、売場の区分に近い単位(以下、小分類)の平均価格上昇率上位は下記の通り。(主要小分類)

加工食品缶詰、冷凍食品、乳製品が2桁上昇。缶詰は2023年2月以降、冷凍食品は3月以降、乳製品は2023年4月以降2桁上昇が続く。
菓子類:2桁上昇分類はなし。デザート・ヨーグルトの上昇率が高い。
飲料乳飲料のみ2桁上昇。2023年8月以降2桁上昇が続く。

出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)

 

小分類を値上げと数量の前期比で分類を分布すると下記の通り。
平均価格が2桁上昇した小分類の内、乳飲料は数量前期比98.9%で前年比微減となったが、乳飲料以外の販売数量前期比は大幅ダウン。特に、冷凍食品の販売数量前期比は90.0%。平均価格上昇分を相殺し、販売金額前期比99.5%となる厳しさとなった。

その他着目点としては、下記2点。
アイスクリーム類のみ販売数量前期比プラス(気温の高い日が多かったためと推測される)。
・値上げの代表格として取り上げられた食用油の平均価格上昇率は2.0%にとどまるが、販売数量は93.2%と厳しい状況が続いている。

出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)

 

小分類に続いて、より区分された細分類の状況を見てみる。
細分類の平均価格上昇率上位は下記の通り。(主要細分類)

加工食品:約140分類の内、約22%に当たる31分類が2桁の上昇率。これは2023年度上期と大きく変わらない。食用油で売上の大きいサラダ油・天ぷら油は上昇率マイナスだが、その他食用油(シーズニングオイル、ギーなど)、オリーブオイルが2桁上昇。上位分類の顔ぶれから、分類の売上大小問わず大幅値上げが広がっている状況がわかる。
菓子類:上位3分類は2桁上昇。畜産珍味、プレミアムアイスの上昇率が高い。
飲料:上位5分類は2桁上昇。特に、果汁100%飲料の上昇率が高い。
酒類:他より上昇率が低い。その他雑種、果実酒は酒税改正の影響。

出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)

 

値上げと数量の前期比で分類を分布すると、76%の分類は平均価格上昇&販売数量マイナス。2023年1月~6月の87%と比較すると、11ポイント減少。一方、販売数量プラスの分類は17%で、同9ポイント上昇。
多くの分類が販売数量マイナスとなっているのは変わらないが、数量プラスの分類数も増えている。

出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)

 

アイテム別の平均価格上昇率を見てみる。4分類とも約70%前後の商品が値上げされている。
値上げされた商品の値上げ率の内訳は、3%未満が最も高く、次いで7%以上または10%以上。傾向は2023年上期から変動なし。
加工食品・菓子類は40%弱、飲料は42%、酒類は29%の商品で上昇率2桁。着実に数は減っているが、値上げ状況は変わらない。
また、値上げ商品の約60%は数量ダウンとなった。

出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)

 

 

2023年9月~2924年2月のPOSデータから、価格の上昇率は頭打ちと見られるが、明確に値上げが一服したと言える状況ではない。
値上げ報道の減少、心理的な値上げ慣れなどから、生活者は値上げに鈍感になっているとも思えるが、販売数量が回復しないことから、節制生活が日常化していると推測される。
多くの食品メーカー様から「これだけ長く数量が回復しないのは、過去の値上げと状況が異なりこの先が読めない」という声も聞く。不安定な社会情勢や世界的な異常気象、天候不順もあり、今後を予測することは難しいが、その分いち早い現状把握がより重要ではないだろうか。

今後も、KSP-POSを使った最新情報を報告していく。

 

 

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