前回は、2023年1月データで値上げの状況をご報告いたしました。引き続き、最新3月データを使って、値上げの実態を見ていきます。
2023年3月データでは、食品全体で5.3%の上昇率となった。1月速報データの4.7%に対して0.6ポイント上昇。特に、酒類と飲料は6%台と上昇率が高い。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
2021年1月以降平均価格上昇率は高止まりしており、落ち着く気配は見えない。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
3月の平均価格上昇率が高い主要分類は下記の通り。
加工食品:約140分類の内、24%にあたる約35分類が2桁の上昇率となっている。値上げタイミングの影響もあるが、魚肉ハム、クリーミングパウダー、サラダ油・天ぷら油、冷凍農産素材、ケチャップが上位。
菓子類:1月に引き続き、スナックの上昇率が最も高いが、2桁上昇は見られない。
飲料:乳酸飲料、日本茶・麦茶ドリンクなどの上昇率が高い。嗜好飲料の上昇率は比較的低位。
酒類:2桁上昇はみりんのみだが、ブランデー、ウイスキー以外の全分類で平均価格3%以上上昇。
決して主力とはいえないカテゴリーが上位に見られるが、それだけあらゆる食品に2桁近い大きな値上げの波が広がっていると言えるだろう。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
次に、アイテムの平均価格上昇率を見ると、加工食品、菓子類、飲料は上昇率3%未満の構成比が最も多いが、酒類は7%以上が最も多い。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
1月と比較すると、各分類で値上げ率の高い構成比が増えており、値上げが加速していることがわかる。平均価格が上昇した商品の62%は販売数量が前年同月を下回った。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
次に、主要カテゴリーの代表商品の価格動向を見てみる。
掲載商品一覧>
魚肉ハム
クリーミングパウダー 200g
サラダ油 900g
カルパス 50本入り
モナカアイス 150ml
乳酸飲料 ペット500ml
緑茶ペット飲料 600ml
本みりん 1l
ハイボール 500ml
「魚肉ハム」
2022年7月以降、ダラダラ上昇していたが、2023年3月一気に124円に上昇。前月比+14円、前年比+19円で上昇率18%となった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
「クリーミングパウダー 200g」
2022年9月までは前年並みで推移していたが、その後は継続的に上昇。2023年3月は上昇率15%で421円となった(当期平均価格367円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
2023年1月に上昇率がダウンしているのは値上げが一巡したためだが、それでも上昇率は20%。その後再び上昇傾向に転換し、2023年3月は上昇率23%となった(前期平均価格271円→当期平均価格333円)。
2021年1月の平均価格を100とした時系列データで見ると、2022年9月以降160前後で推移していることがわかる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
2022年10月に約10%上昇。翌11月、12月の上昇率20%がピーク。その後若干下がり、2023年3月の上昇率は13%(前期平均価格422円→当期平均価477円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
2022年4月以降、ダラダラ上昇。2022年11月と2023年2月のダウンは特売など販促施策の影響と推測される。2023年3月は一気に上昇し、上昇率は13%(前期平均価格94円→当期平均価106円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
2022年10月に8%上昇後、ダラダラ上昇。2023年1月以降は15%前後で推移(2023年3月 前期平均価格77円→当期平均価89円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
2022年10月に約7%平均価格が上昇。さらに翌月も上昇。2023年3月は2022年3月比+9円(2022年3月平均価格71円→2023年3月平均価格80円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
2022年10月に一気に15%平均価格が上昇。その後もダラダラ上昇が続き、2023年3月の上昇率は24%(前年平均価格298円→当期平均価格369円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
2022年10月に一気に9%平均価格が上昇。その後も9%前後で推移(2023年3月 前年平均価格136円→当期平均価格150円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年3月データより
値上げのニュースが取り上げられる機会は減っているようだが、各社から発表されている通り今後も食品の値上げは続く。年間で食品支出は2万5000円以上増加するという報道もある。さらに、卵は値上がりと品不足が顕著で、内食・外食含め食生活を直撃するなど、食関連は明るいニュースが少ない。
一方、マスク着用が個人の判断となり、行動制限がほぼなくなったことで、活発な消費活動が戻ってくることが期待されている。私たち生活者には、食生活含め、品目やシーンに合わせて節約とご褒美を使い分け、生活にメリハリをつけながら新しい生活スタイルを模索していくことが求められる。
今後も、KSP-POSを使った食品最新情報を定期的に報告していく。