2023年に飼料の値上がりや鳥インフルエンザの影響などで高騰した卵は、一時期価格も下がり落ち着いていたものの、再度値上がりしています。夏の猛暑や鳥インフルエンザ感染拡大の影響、冬場に向けて外食産業での需要が増加していることなどが原因のようです。
KSP-POSデータから、食品スーパーにおける卵の販売状況を確認してみましょう。
- 卵の平均価格は2023年5月~7月に247円前後まで高騰。その後緩やかに下降し、2024年2月~8月までは比較的安定、5月・6月は前年から50円下降したが、9月頃から再び上昇。11月には216円と前年同月の231円から15円差、また直近1年で最も低い価格だった7月の197円から9.6%増の+9円となった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、月次、全国、速報値)
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・価格が安定した2024年2月~9月までの数量/店は7月を除き前年並みから微増だったが、価格が上昇した10月・11月は売上が下降し、前年を下回る結果となった。
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- 卵の週次平均価格は前年の価格は下回るものの、7月からコンスタントに上昇。7月29日週では前年より約20%安い196円だったが、直近の11月25日週には7月29日週の価格から20円上昇(+10%)し216円となった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次、全国、速報値)
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- 価格の上昇に伴い、数量/店は徐々に減少。買い控えが起こっている状況が窺われる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次、全国、速報値)
- 【10個パック】入り数別で10個パックの平均価格は7月29日週に前年からは53円値下がりしたが、徐々に上昇し11月25日週には前年と10円差、7月29日週と比較すると25円差(∔13%)と大幅に上昇。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次、全国、速報値)
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- 10個パックの数量/店は前年より平均価格はまだ低いものの、9月9日週に前年割れ。9月23日週にプラスに転じたものの、9月30日週以降前年比マイナスが続く。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次、全国、速報値)
- 【6個パック】6個パック平均価格の前年比は93%から98%で、10個パックの79%から96%と比べると変動はかなり小幅で、10個パックより前年との価格差は小さく、7月29日週からの下降も緩やか。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次、全国、速報値)
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- 6個パックの数量/店は前年を下回る週が多い。6個パックの平均価格が10個パックを上回ることが一因と推察される。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次、全国、速報値)
- エリア別の2024年11月25日週の平均価格は、北海道・東海・中国・四国・九州の価格が他エリアよりも高い。前年との価格差は首都圏が前年から3円上昇。北陸が-3円、東北が-9円と他エリアよりも前年の価格に近付いている。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次、全国、速報値)
- 首都圏の平均価格を見ると、7月29日週に199円だった価格が11月25日週には224円と25円上昇(∔12.6%)と、全国計(20円上昇 [+10%])よりも値上がりするスピードも速く、上げ幅も大きかった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次、首都圏、速報値)
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次、首都圏、速報値)
- 首都圏の数量/店は11月25日週には前年比89% と全国の95%を大幅に下回り、値上げの影響が大きく、今後全国に広まっていく可能性は高い。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次。首都圏、速報値)
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卵の需要が高まる年末年始に向けて、卵の価格はさらに上昇する可能性があり、また鳥インフルエンザがさらに広まれば、卵不足に陥ることもあり得ると言われています。卵を使う機会が増える季節です。食卓に欠かせない卵、安定した価格での安定した供給に早く戻ることを切に願います。