【2025年10月】サイバー攻撃の脅威 ~アサヒグループへの影響は?~ 

アサヒグループホールディングスが9月末にサイバー攻撃を受けてから1ヵ月以上が経ちますが、未だにシステムは正常に稼働していないようです。アサヒグループの一部出荷停止による影響をKSP-POSから見てみましょう。

※アサヒグループ: 当レポートでは「アサヒビール」「アサヒ飲料」「アサヒグループ食品」を対象とした。

KSP-POSとは・・・

まとめ> 

  • 9月の最終週に起きたサイバー攻撃後、アサヒグループ全体の売上は徐々に減少し、10月20日週と27日週には前年比77%まで下降。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

 


まとめ>  主要分類別動向  データ項目別動向

カテゴリー別詳細>


 

◆ アサヒグループ 主要分類別動向

  • 酒類: 「スーパードライ」を代表ブランドとする主力のビールは、前年比が10月27日週で前年比94%と他カテゴリーと比較すると下げ幅は小さい。一方「スタイルフリー」や「アサヒオフ」を主要ブランドとする発泡酒は前年比68%と大幅な下落となった。ウイスキーは2割程度の減少だった。
  • 飲料: 炭酸フレーバーには「ドライゼロ」や「アサヒゼロ」のアサヒビールブランドと、「三ツ矢サイダー」「カルピスソーダ」などのアサヒ飲料ブランドが混在する。アサヒビールが10月27日週前年比78%に対し、アサヒ飲料は56%と著しく縮小。カルピス中心の乳酸飲料も前年比68%と大きく減少した。
  • 菓子: 「ミンティア」を中心とするキャンディ・キャラメルは直近週前年比88%にとどまった。
  • 加工食品: 「アマノ」のインスタント味噌汁は前年から約3割縮小した。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

◆ アサヒグループ データ項目別動向

  • 主要分類別の1店当たりの販売数量を見ると、ビールは前年比86%と他カテゴリーより減少は小幅だった。発泡酒は65%と大きく下落。
  • 炭酸フレーバーはアサヒビールの商品が前年比68%に対し、アサヒ飲料の商品は55%と大幅縮小。乳酸飲料は前年比61%で4割減だった。
  • キャンディ・キャラメルの減少は10%にとどまったが、インスタント味噌汁は前年比64%と顕著に減少。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

主要分類の総アイテム数はビール(9月22日週から▲21アイテム)とアサヒ飲料の炭酸フレーバー(▲29アイテム)で大幅に減少したが、季節の影響も考えられる。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

・ 主要分類の1店当たりの平均扱いアイテム数も9月22日週から下記の通り大きく下降。ビール・発泡酒・飲料は季節の影響も考えられるが、キャンディ・キャラメルやインスタント味噌汁のアイテム数も減少している。

ビール: ▲5アイテム
発泡酒: ▲5.7アイテム
炭酸フレーバー(アサヒビール): ▲4.6アイテム
炭酸フレーバー(アサヒ飲料): ▲5.3アイテム
乳酸飲料: ▲3アイテム
キャンディ・キャラメル: ▲2アイテム
インスタント味噌汁・吸物: ▲3.9アイテム

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)


カテゴリー別詳細>

 【ビール】 【発泡酒】 【ウイスキー】 【炭酸フレーバー】
【乳酸飲料】  【キャンディ・キャラメル】  【インスタント味噌汁・吸物】 

◆ カテゴリー合計の動き

・ビール、ウイスキー、キャンディ・キャラメル、インスタント味噌汁・吸物については前年並みか微減程度で推移しており、アサヒの影響が他社でカバーされているか、アサヒのシェアが小さく全体への影響が小さかった状と推察される。
・発泡酒・炭酸フレーバー・乳酸飲料は前年比75%~90%減少しており、アサヒグループ出荷停止の影響が大きかったと見られる。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

 ビール 

  • アサヒビールの10月27日週のシェアは9月22日週から3.8ポイント下降。麒麟麦酒+3.3pt.、サントリーが0.9pt.拡大。
  • 麒麟麦酒の金額前年比は10月8日週以降2桁プラスで推移しており、アサヒビールのマイナスをカバーしている状況が窺われる。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

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◆ 発泡酒  

  • アサヒビールの10月27日週のシェアは9月22日週から6.7ポイント減少。麒麟麦酒+3.9pt.、サントリーが1.9pt.、サッポロビールが+0.6pt.拡大。
  • メーカー別の前年比ではサントリーやキリンが前年を上回っている週があるものの全般的に前年比マイナスで、縮小傾向にあった発泡酒にアサヒの減少が追い打ちをかけたようだ。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

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◆ ウイスキー  

  • アサヒビールの10月27日週のシェアは9月22日週から2.7ポイント減少。麒麟麦酒+1.3pt.、その他が+1.1pt.拡大。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

 

◆ 炭酸フレーバー  

  • アサヒビールの10月27日週のシェアは9月22日週から3.6ポイント減少し、アサヒ飲料は9.4pt.と大幅に下落。サントリーは+1.6pt.、日本コカ・コーラが+3.0pt.拡大。麒麟麦酒の9月29日週からのシェア拡大と伸長はノンアルの「ラガーゼロ」上市によるもの。
  • アサヒに加え、サントリー、日本コカ・コーラの販売金額はマイナス基調で、カテゴリー全体の大幅な下落に繋がった。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

 

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

◆ 乳酸飲料

  • アサヒ飲料の10月27日週のシェアは9月22日週から13ポイント大きく下降。キリンビバレッジが+9.9pt.と大幅な拡大を示した。
  • キリンビバレッジは「イミューズ」や「免疫ケア」が好調だが、アサヒ飲料のマイナスをカバーするには至らなかった。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

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◆ キャンディ・キャラメル 

  • アサヒグループ食品の10月27日週のシェアは9月22日週から1.4ポイント縮小。アサヒのシェアが小さいこともあり、全体に大きな影響は見られなかった。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

 

◆ インスタント味噌汁・吸物

  • アサヒグループ食品の10月27日週のシェアは9月22日週から4.7ポイント縮小。永谷園(+2.8pt.)、マルコメ(+1.2pt.)などが拡大した。

出典:KSP-POS(食品SM 週次 全国)

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

サイバー攻撃はアサヒグループのみならず、アスクルや無印良品にまで広がっています。
映画や小説の中だけの話だと思っていたことが、こんな身近で起こるとは。そしてこんなに甚大な被害を及ぼすとは思ってもみませんでした。
セキュリティに関しては細心の注意を払っていかなければなりませんね。メールで送られてきたリンクは絶対開かないようにしなくては・・・。

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