2023年に飼料や物流コスト上昇に加え鳥インフルエンザの影響などで高騰した卵は、2024年に入って価格はやや下がったものの、24年秋以降再度値上がりに転じ上昇を続けています。
KSP-POSデータから、食品スーパー(食品SM)とドラッグストア(DgS)を比較しながら、卵の販売状況を確認していきましょう。
- 【DgS販売店率】まず最初に、KSP-POSのドラッグストアにおける鶏卵の 販売店率を確認すると、東日本で86%と若干低めだが、全国では90%の店舗で販売されている。
出典:KSP-POS(DgS[食品]、年次)
【平均価格】
- [SM] 2022年3月に157円だった卵の平均価格は2023年5月~7月に247円前後と∔90円となり約1.6倍まで高騰。その後緩やかに下降し、2024年2月~8月までは比較的安定、7月には前年から50円下降したが、9月頃から再び上昇。25年2月に227円と直近1年で最も低い価格だった24年7月の197円から+30円(115%)となった。
出典:KSP-POS(食品SM、月次、全国)
- [DgS] 2022年3月に144円だった卵の平均価格は2023年5月~6月に244円前後と∔100円となり約1.7倍まで上昇。その後緩やかに下降し、2024年2月~8月までは比較的安定、5月・6月は前年から50円下降したが、9月頃から再び上昇。25年2月には217円と直近1年で最も低い価格だった7月の172円から+45円(126%)となった。
- SMとDgSを比較すると、価格はほぼ同様の動きを示している。価格上昇時はSMとDgSの価格に大差はないが、下降時はDgSの方がSMより10円~20円低い。
出典:KSP-POS(DgS[食品]、月次、全国)
【数量/店】
・数量/店は価格の上昇に伴い下降。25年2月の前年比はSMで93%、DgSで90%と、SMよりドラッグストアにおける下げ幅が大きかった。
出典:KSP-POS(食品SM、月次、全国)
出典:KSP-POS(DgS[食品]、月次、全国)
【平均価格】
- [SM] 週次平均価格は25年1月20日週から前年を上回り、3月17日週では前年比113%で∔24円となった。
出典:KSP-POS(DgS[食品]、週次、全国)
- [DgS] ドラッグストアにおける週次平均価格は25年1月13日週から前年を上回り、3月17日週では前年比126%で∔46円と、前年の価格がSMより10円以上低いことが要因でSMよりも上昇率が高い。
出典:KSP-POS(DgS[食品]、週次、全国)
【数量/店】
- [SM] 数量/店の前年比は12月以降93%から97%で推移し、前年からの価格上昇による大幅な下降は見られなかった。前年ではなく直近の価格との比較が、購買の判断に繋がっているのではないかと推察される。
出典:KSP-POS(食品SM、週次、全国)
- [DgS] 価格の上昇に伴い前年比は徐々に下がり、価格が220円を超えた3月3日週には83%まで下降した。
出典:KSP-POS(DgS[食品]、週次、全国)
【平均価格】
- [SM] 2024年10月まで6個パックの価格の方が1個パックより10円~15円低かった。24年11月に価格は逆転し、10個パックが過去1年で∔30円(115%)上昇したのに対し、10個パックより価格が高かった6個パックは、平均価格の変動が小さく過去1年で∔8円(104%)にとどまっている。
- [DgS] 10個パックが過去1年で∔40円(122%)上昇したのに対し、6個パックの平均価格の変動は∔32円(120%)で10個パックとほぼ同等だった。
出典:KSP-POS(DgS[食品]、月次、全国)
【数量/店】
- [SM] 10個パックの前年比が2024年10月以降マイナスだったのに対し、価格の変動が小さかった6個パックは24年11月まで前年比マイナスだったが、12月以降プラスに転じており、10個パックより手に取りやすい価格であることが一因と推察される。
- [DgS] 10個パックの前年比が2024年12月以降マイナスだったのに対し、6個パックは前年比プラスで推移している。値上がりしたとはいえ200円弱の価格でSMと同様、10個パックよりも手に取りやすい価格であることが窺える。
出典:KSP-POS(DgS[食品]、月次、全国)
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卵が栄養価が高く価格が安定した国民食として、「物価の優等生」と呼ばれたのは過去のこと。様々な理由で価格の上昇が続いており、農林水産省によると春の行楽シーズンは卵の需要が増える傾向にあり、卵の高値はしばらく続くのではないかとのこと。気軽に卵を食べることができる日は戻ってくるのでしょうか。