スーパーの棚に米がない!
2023年の猛暑による不作、インバウンド需要、災害に向けての備蓄、品切れに備えての買いだめ・・・など様々な理由で、日本人の主食として欠かせない米が一時店頭から消え、「令和の米騒動」とまで呼ばれたたことは記憶に新しいと思います。
8月後半以降、新米が入荷されれば店頭に米は戻ってくると言われていましたが、その後の米の販売状況はどうなっているでしょうか。KSP-POSを使って、食品スーパーとドラッグストアの状況を比較しながら検証してみましょう。
まとめ>
2024年9月、食品スーパー(SM)、ドラッグストア(DgS)における米の金額PI前年比は131%、141%と共に大幅に増加。平均価格前年比がSMで147%、DgSで182%と大きく上昇したことが金額PIを引き上げる結果となった。数量PIはSM・DgS共に著しく減少し、新米は入荷されたものの値上がり幅が大きかったため、消費者が買い控えをしている状況が窺われる。
販売店率はDgSで微減しているのに対し、店頭取扱アイテム数は前年からSMで9.5個(▲30%)、DgSで2.1個(▲23%)減り、店頭における品目数は減少している。
◆ 米の販売概況 食品SMとドラッグストア比較 2024年9月 全国
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、ドラッグストア) 速報店 2024年9月 月次 全国
<金額PI比較>
米のSMにおける金額PI値はDgSの約1.4倍から1.6倍。前年比はDgSの方が高く、SM・DgS共に傾向は類似。2024年春頃から徐々に上昇し、8月にピークとなり、9月の前年比は7月程度まで落ち着いた。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、ドラッグストア) 速報店 2024年9月 月次 全国
<数量PI比較>
数量PI値は個数ベースなので単純に比較はできないが、SMはDgSの約1.2倍から1.7倍で、SM・DgSはほぼ同傾向。2024年春頃から徐々に上昇し、8月にピークとなったが、9月は価格高騰による買い控えが見られ、SMで89%、DgSで78%と大幅な下落となった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、ドラッグストア) 速報店 2024年9月 月次 全国
<平均価格比較>
米の平均価格は春頃から上昇が始まり、SMで8月前年比127%→9月147%、DgSで8月前年比147%→9月182%と新米発売後も値上がりは止まらず、消費者の買い控えにつながっていると推察される。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、ドラッグストア) 速報店 2024年9月 月次 全国
<週次 数量PIと平均価格比較>
米の平均価格と数量PIを週次で見ると、新米が出始めた8月後半からSM・DgS共に平均価格は上昇を続け、数量PIは大きく下降している。
出典:KSP-POS(上:食品スーパーマーケット、下:ドラッグストア) 速報店 週次 全国
<アイテムランキング 週次 速報店 9/23週~10/14週>
アイテム別に見ると平均価格がSM・DgS共に145%から200%近く上昇しており、上位商品5kgの平均価格はSMで3,200~3,500円と前年から1,000円以上の値上がり。DgSでは3,000円前後でSMと同様前年から1,000円以上の上昇となっている。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット) 速報店 週次 全国
出典:KSP-POS(ドラッグストア) 速報店 週次 全国
<エリア別 平均価格比較>
米の平均価格をエリア別に見ると、SMでは首都圏が前年比162%、九州で151%と他エリアより高い傾向にある。DgSでは近畿で194%と他エリアより高かった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット) 速報店 2024年9月 月次 全国
出典:KSP-POS(ドラッグストア) 速報店 2024年9月 月次 全国
<容量別 金額前年比比較>
容量別に金額前年比を比較すると、SMでは9月に10kgが63%と大幅に減少。一方、DgSでは10kgが194% と8月より高い伸びを示した。 DgSでは10kgで4千円弱と割安で販売されている製品があり、その影響と推察される。
出典:KSP-POS(上:食品スーパーマーケット、下:ドラッグストア) 月次 全国
<容量別 数量前年比比較>
数量前年比ではSMで9月、10kgが38%と著しく下降したが、5㎏は99%と前年並みを維持。DgSでは10kgが111%と前年を上回ったのに対し、5kgが87%と大きく下落した。
出典:KSP-POS(上:食品スーパーマーケット、下:ドラッグストア) 月次 全国
<容量別金額構成比比較>
容量別の金額構成比は前年同月と比較すると、SMで5kgが+14ptと大きく拡大した一方、10kgが▲10pt、2kgが▲3pt縮小した。DgSでは 5kgはほぼ前年並みの72%、10kgが+5pt、2kgが▲4ptと10kgの構成比が拡大した。
出典:KSP-POS(上:食品スーパーマーケット、下:ドラッグストア) 月次 全国
<容量別 平均価格比較>
2024年9月の平均価格を容量別に前年と比較すると、SM・DgS共に5kgで千円以上(約1.6倍)、10kgで2千円以上(1.6~1.7倍)の高騰となっており、購入をためらう消費者が多いことはうなずける。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、ドラッグストア) 月次 2024年9月 全国
★★★★★
日本人の主食として欠かせない米。早く価格が落ち着いて、今まで通りに購入できるようになることを願ってやみません。このままだと来年もまた米不足に陥る可能性があると言われています。今後、政府は何か対策を打ってくれるのでしょうか。