ご家庭で食事をする機会が増える年末年始。お正月向けの食品はいつ頃購入されましたか?また以前と比べて購入した商品に変化はあったでしょうか?
KSP-POSの日次データ「カテゴリークイック」を使い4年前のデータと比較しながら(2023年 vs. 2019年)、購入時期と購入カテゴリーの変化を検証してみました。
◆ まとめ
【全般】
・購入する時期については4年前と比較して、曜日並びによる違いはあるものの大きな変化は見られなかった。
・購入する商品については、手作り料理に使う食材の売上がやや減少し、おせちセットなどのお惣菜など即食できる商品の売上が上昇している。
・酒類は食品より曜日並びの影響が大きい。「清酒」「果実酒」は減少傾向だが、「ビール」は酒税法改正で価格が下がったため売り上げに目立った変化は見られなかった。
分類別傾向はこちら→ 【包装餅】 【手作り料理用食材】 【惣菜・練り製品など】 【酒類】
◆ 分類別動向
まずお正月の必需品「包装餅」の動きを見てみましょう。
売上は12月20日頃から徐々に増加し、28日から30日がピーク。31日はピークの60%程度まで減少し、1月1日に一気に下降。
2023年は12月24日と25日の売上が2019年よりやや高めだったが、その後の動きに大きな変化は見られなかった。
カテゴリークイック PI値【金額/全店千人】 2019年と2023年比較
日次データ(12月18日~1月7日) 全国
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
次に手作り料理用食材の動きを見ていきましょう。
・黒豆を含む「豆類」(農産乾物)は水に浸けたり煮こむ時間がかかるため、24日頃から増加しピークは28日から29日。30日はピークの約75%に減少し31日には一気に下降。
ピーク時のPI値は2019年と比較すると8割程度に低下しており、価格の上昇(約4%)を考慮すると下げ幅はさらに大きく、手作り料理の減少傾向が窺われる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
・「干し椎茸」の売上は25日頃から増加し、29日から30日をピークに31日にPI値は半減。ピーク時のPI値は2019年と比較すると8割程度に減少。価格に大きな変化はなかった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
・「昆布」の売上は25日頃から増加し、ピークは29日から30日。31日はピークの65%程度。 ピーク時の売上は2019年の9割弱。価格は5%程度上昇。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
惣菜・練り製品など、調理が不要なカテゴリーを検証していきましょう。
・おせちセットやきんとんなどを含む「和惣菜」「その他惣菜」のPI値は12月25日頃から増加し30日がピークで、31日は前日の約85%。
PI値は2019年から17%程度上昇。平均価格の上昇率(約12%)を上回っており、おせちセットなどを購入し手軽に済ます家庭が増加していることが窺える。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
・黒豆を含む「煮豆」も「惣菜」と同様にPI値は12月25日頃から増加し30日がピークで、31日は前日の約65%。12月24日と25日の売上が2019年よりやや高めだが、その後の動きはほぼ同じ。
農産乾物の「豆類」は2019年と比較するとPI値が減少していたが、「煮豆」ではPI値にも価格にも大きな変化は見られなかった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
・「蒲鉾」と伊達巻を含む「その他練り製品」もPI値は12月25日頃から増加し29日~30日がピークで、31日は前日の6割前後まで減少。12月23日~26日の売上が2019年よりやや高めだが、その後の動きはほぼ同じ。PI値はどちらもわずかに2019年を上回ったが値上げの影響が大きい。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
最後に年末年始に飲む機会が増える酒類の動きを見ていきましょう。
・「清酒」の日別売上の動きは曜日回りによる違いはあるものの、4年前から大きな変化は見られないが、売上のピークが2019年は31日だったが、2023年は30日だった。またお惣菜などの食品とは違い、売上は3が日にかけて緩やかに下降。
2023年のPI値は2019年と比較すると減少しており、日本酒離れの傾向が推察される。価格に大きな変化はなかった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
・「ビール」の売上は曜日回りによる違いが「清酒」より顕著。特に2023年はクリスマスイブが日曜日だったため、PI値は2019年を大幅に上回った。売上のピークは31日で、清酒と同じく売上は3が日にかけて緩やかに下降。
酒税法改正による価格改定の影響で価格が下がっている影響もあり、ビールの売上は4年前と比較して同等からやや増加した。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
・「果実酒(ワイン)」の売上は曜日回りによる違いもあるが、イベントによる違いが顕著。特に2023年はクリスマスイブが日曜日だったため、PI値は2019年を大幅に上回ったが、2019年のクリスマスイブは平日にも関わらずPI値はピークだった。年末は27日から31日まで緩やかに上昇し、3が日にかけて下降。ワインの価格は8%程度上昇し、売上は4年前をやや下回っている。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
★★★★★
年末年始における商品購入の時期については、4年前と大きな違いは見られませんでした。
手料理用の食材の売上は12月28日・29日がピークでやや早めに購入される一方、おせちセットなどの惣菜は30日がピークで、1月1日以降一気に購入が減少しますが、酒類については曜日回りやイベントの影響が大きく、「清酒」「ビール」は30日・31日、「果実酒(ワイン)」はクリスマスイブがピークでした。また酒類の売上は年明けの3が日にかけて緩やかに下降していくことがわかりました。
購入する商品の内容については、手作り料理用食材の購入が減少する中、惣菜類などが増加しており、おせちは作るものから買うものへとシフトしている状況が確認できました。酒類については「清酒」「果実酒(ワイン)」が減少傾向、「ビール」は酒税法改正による価格改定で売上は維持しているものの、全般的にアルコール離れの傾向は進んでいるようです。