ドラッグストアで食品を購入する機会は増えていませんか?ドラッグストアではどんなカテゴリーや商品が売れているのでしょうか?スーパー(SM)とドラッグストア(DgS)の販売状況にどのような違いがあるでしょうか?KSP-POSデータを使って、いろいろな角度から検証してみましょう。
◆ カテゴリー動向比較
まず、売上上位のカテゴリーを比較してみましょう。
【全般】
・SMはチルドの加工食品が多く、DgSは菓子が多い。
・SMの1位は「ヨーグルト」、DgSは「健康食品」。2位から4位は同じで「リキュール類」「ビール」「牛乳」が続く。
項目別傾向はこちら→ 【PI値】 【平均価格】 【販売店率】
スーパーマーケット(SM)とドラッグストア(DgS)の売上上位20カテゴリー
(KSP標準分類) 期間:2023年4月~9月累計
上位20カテゴリーのうち、共通のカテゴリーは13個
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット/ドラッグストア_食品)
【PI値】
・2位「リキュール類」(主に第3のビール・ハイボールなど)のPI値はDgSの方が約20%高い。
・DgSで5位の「スナック」はSMでは21位で、PI値はDgSの方が約35%高い。また、DgSで11位の「チョコレート」はSMでは24位、DgSで15位の「キャンディ・キャラメル」はSMでは32位で、どちらもPI値はDgSの方が高い。
・DgSで8位、SMで16位の「カップ麺」のPI値はDgSの方が約11%高い。また、DgSで7位、SMで18位の「日本茶・麦茶」のPI値もDgSの方が約12%高い。「コーヒードリンク」「パーソナルアイスその他」のPI値もDgSの方がSMより高くなっている。
【平均価格】
・全般的にDgSの方が低い傾向にあるが、「リキュール類」「ビール」の平均価格はDgSの方が高い。DgSでは単品買いよりも6缶パックなどのパック買いがSMより多いことが推察される。
・「日本茶・麦茶」もDgSで2Lなどの大容量やケース売りが多いため、平均価格はSMより高い。
【販売店率】
・SMの販売店率がほぼ100%なのに対し、DgSの販売店率は以下の通り。
「牛乳」や「ヨーグルト」などのチルド商品が約87%
「アイスクリーム」が約90%
「冷凍調理」(冷凍餃子やから揚げなど)が約87%
「リキュール類」「ビール」などの酒類が約92%
「菓子パン」「食パン・食卓パン」が約90%。
◆ メーカーシェアとアイテムランキング
次にPI値がスーパーよりドラッグストアの方が高いカテゴリーをいくつか取り上げて、メーカー別金額シェアとアイテムランキングを比較してみましょう。
加工食品【カップ麺】の比較
菓子【スナック】の比較
酒類【リキュール類】の比較
メーカーシェアグラフ 食品SMアイテムランキング表 DgSアイテムランキング表
- メーカーの1位はSM・DgS共に日清食品
SMは約42%、DgSは約35%とSMの方がシェアは約7ポイント高い。SMの上位20アイテム中、日清食品は12アイテムを占め、DgSでは9アイテム。 - メーカー2位はSM・DgS共に東洋水産
SMは約25%、DgSは約27%とDgSの方がシェアはやや高い。SMの上位20アイテム中、東洋水産は5アイテムで、DgSでは7アイテム。 - 3位以降は業態で異なる
SMではサンヨー食品、明星食品、エースコックが続き、DgSでは明星食品、エースコック、サンヨー食品が続く。 - ランキングトップ商品は業態で異なり、DgSは焼きそばが上位
SMの1位は「日清 カップヌードル 78g」で2位は「日清 カップヌードル シーフードヌードル 75g」に対し、DgSのランキングトップは「東洋水産 マルちゃん ごつ盛り ソース焼そば 171g」で2位は「ペヤング ソースやきそば 120g」と焼きそばが上位2位を占める。 - DgSの方が上位商品への集中度が高い
DgSランキングトップ「東洋水産 マルちゃん ごつ盛り ソース焼そば 171g」の金額PIは794円(数量PIは7.1個)に対し、SM1位の「日清 カップヌードル 78g」のPI値は約510円(数量PIは3.4個)と上位商品のPI値はSMよりDgSの方が高い。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット/ドラッグストア_食品)
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
出典:KSP-POS(ドラッグストア_食品)
メーカーシェアグラフ 食品SMアイテムランキング表 DgSアイテムランキング表
- メーカーの1位はSM・DgS共にカルビー
SMは約45%、DgSは約43%とほぼ同等のシェア。 - メーカー2位はSM・DgS共に湖池屋だがシェア差が大きい
SMは約13%、DgSは約20%とDgSのシェアが約7ポイント高い。SMの上位20アイテム中、湖池屋は15位と19位の2アイテムに対し、DgSでは6位、7位、16位、18位の4アイテムがランクイン。DgSで6位の「湖池屋 ポテトチップス のり塩 60g」はSMで22位、7位の「湖池屋 スコーンやみつきバーベキュー 78g」はSMで33位と、SMとは異なるラインナップになっている。 - 3位以降は業態で異なる
SMではヤマザキビスケット、東鳩、おやつカンパニーが続き、DgSではヤマザキビスケット、おやつカンパニー、東鳩が続く。 - ランキングトップ2はカルビー商品で共通
SM・DgS共にランキングトップは「カルビー じゃがりこサラダ 57g」で2位は「カルビー ポテトチップスうすしお味 60g」、SM の3位は「カルビー かっぱえびせん 77g」4位は「カルビー ポテトチップスコンソメパンチ 60g」、DgSの3位は「カルビー ポテトチップスコンソメパンチ 60g」4位は「プリングルズ サワークリームオニオンM缶」 - DgSの方が上位商品への集中度が高い
SM・DgS共に1位「カルビー じゃがりこサラダ 57g」の金額PIはSM で342円(数量PIは3.1個)に対し、DgSでは約613円(数量PIは5.9個)、2位の「カルビー ポテトチップスうすしお味 60g」の金額PIはSM で305円(数量PIは3.0個)に対し、DgSでは約412円(数量PIは4.3個)。特に上位商品のPI値はSMよりDgSの方がかなり高く、上位商品への集中度も高い。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット/ドラッグストア_食品)
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
出典:KSP-POS(ドラッグストア_食品)
メーカーシェアグラフ 食品SMアイテムランキング表 DgSアイテムランキング表
- メーカーの1位はSM・DgS共にサントリー
SMは約37%、DgSは約45%とDgSのシェアの方が約8ポイント高い。 - メーカー2位はSMがアサヒビール、DgSは麒麟麦酒
SMはアサヒビールでシェア約22%、DgSは麒麟麦酒で約23%。SMは上位20アイテム中、アサヒビールは6アイテム、麒麟麦酒は5アイテムに対し、DgSはアサヒビールは2アイテム、麒麟麦酒は5アイテム。 - メーカー3位以降も業態で異なる
3位以降はSMでは麒麟麦酒、サッポロビールが続き、DgSではアサヒビール、サッポロビールが続く。 - ランキングトップは「サントリー 金麦」で共通
SM・DgS共にランキングトップは「サントリー 金麦 缶 350ml×6」。SMの2位は「アサヒ クリアアサヒ 缶 350ml×6」で、DgSの2位は「サントリー 金麦 缶 350ml×6×4」。3位・4位はSM・DgS共に「キリン 本麒麟 缶 350ml×6」4位は「サントリー 金麦糖質75%オフ 缶 350ml×6」。 - DgSの方が上位商品への集中度が高く、平均価格は低い傾向
SM・DgS共に1位「サントリー 金麦 缶 350ml×6」の金額PIはSM で1,057円(数量PIは1.5個)に対し、DgSでは約1,608円(数量PIは2.3個)とDgSの方が全般的にPI値は高く、上位商品への集中度も高い。平均価格はDgSの方が低い商品が多い。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット/ドラッグストア_食品)
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
出典:KSP-POS(ドラッグストア_食品)
★★★
全般的にドラッグストアの方が販売価格が低い、ケース売りや大容量での売上が高いカテゴリーが多い、上位商品への集中度が高い、などの特徴が挙げられます。
今後、スーパーとドラッグストアそれぞれの売れ筋商品や価格差を把握し、うまく使い分けて買い物をする消費者が増えていくのではないでしょうか。