2021年後半から食品の値上げラッシュが1年以上続いています。今後もさらなる値上げが発表されていますので、ゴール地点はまだ見えていませんが、最新状況を2023年1月データで確認してみます。
2023年1月の速報データでは、食品全体で4.7%の上昇率となった。酒類は7.8%で大幅上昇。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
平均価格上昇率が高い主要分類は下記の通り。
加工食品:2021年以降主要メーカーが5回程度値上げを発表したサラダ油・天ぷら油の上昇率23.1%。冷凍水産素材、マヨネーズなども2桁の上昇率となっている。
菓子類:スナックが最も上昇率が高いが、菓子類の上昇率は比較的低位。
飲料:コーラ、果肉飲料の上昇率が高い。嗜好飲料の上昇率は比較的低位。
酒類:ビール、スピリッツは2桁の上昇率。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
次に、アイテムの平均価格上昇率を見ると、各分類ともおよそ70%以上の商品が3%以上値上げした。
平均価格が上昇した商品の60%は販売数量が前年同月を下回った。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
次に、主要カテゴリーの代表商品の価格動向を見てみる。
サラダ油900g
マヨネーズ450g
小麦粉1kg
パスタ600g
焼きそば用チルド麺3人前
かにかま10本入り
ビール350ml×6
ファミリーアイス6本入り
炭酸飲料700ml
スナック菓子60g
「サラダ油900g」
2023年1月の上昇率は20%で、2022年1月以降最も低い。これは、2021年から平均価格の上昇が継続しているため。2021年1月の平均価格206円に対して、2023年1月は336円で上昇率63%(価格差130円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
2021年1月からの時系列データにすると、価格上昇がわかりやすい。
2021年1月を100とすると、ほぼ右肩上がりで進み、2023年1月は160を超えている。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
「マヨネーズ 450g」
2022年1月以降上昇率は2桁が続いてる。2022年1月の平均価格211円に対して、2023年1月は257円で上昇率21%(価格差46円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
こちらもサラダ油同様、2021年1月からの時系列データにすると、価格上昇がわかりやすい。
2021年1月を100とすると、2021年2月~6月までは100を下回る。2021年7月~2022年2月までは100前後で推移。2022年3月は106、2022年4月以降は110以上、さらに2022年11月以降は120を超え、段階的な価格上昇がみられる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
「小麦粉1kg」
2022年2月に10%上昇(前期平均価格213円→当期平均価格236円)。2022年10月以降上昇率が1段上がり、2023年1月は16.6%となっている(前期平均価格222円→当期平均価格259円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
「パスタ600g」
上昇率は一貫した右肩上がりではなく、月によって変動がある。これは、特売などの影響と見られる。2022年2月に10%上昇(前期平均価格276円→当期平均価格304円)。上昇率が15%を超える月も見られるが、2023年1月は22%で最も上昇率が高くなった(前期平均価格278円→当期平均価格338円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
「焼きそば用チルド麺3人前」
2022年4月に10%上昇(前期平均価格152円→当期平均価格167円)。その後大きな値上げはなく、2023年1月13.3%となっている(前期平均価格153円→当期平均価格174円)。なお、本商品は4月以降値上げが予定されている。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
「かにかま10本入り」
2022年3月一気に12%上昇(前期平均価格73円→当期平均価格82円)。6月に平均価格は若干下がったが(特売などの影響と見られる)、2022年9月21%に上昇(前期平均価格74円→当期平均価格90円)。本商品も3月に再値上げが予定されている。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
「ちくわ4本入り」
2022年3月に8%、さらに2022年11月20%と2段階で上昇。2023年1月の上昇率は23%(前期平均価格105円→当期平均価格129円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
「ビール350ml×6」
2022年9月までは前期比マイナスだが、2022年10月に5%上昇。2023年1月の上昇率は6%(前期平均価格1017円→当期平均価格1078円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
「ファミリーアイス 6本入り」
2022年4月に5%上昇。夏場は上昇率が3~4%台にダウンしたが、2023年1月の上昇率は8%(前期平均価格217円→当期平均価格234円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
「炭酸飲料 700ml」
2022年9月まで平均価格は前期比マイナス。2022年10月に9%上昇。その後上昇し、2023年1月の上昇率は14%(前期平均価格92円→当期平均価格105円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
「スナック菓子 60g」
(データ期間内にリニューアルしているため、リニューアル前後商品で比較)
月によって価格の変動は大きいが、前期平均価格からの上昇率は12%~21%。2023年1月の上昇率は16%(前期平均価格84円→当期平均価格97円)。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)2023年1月速報データより
メーカー発表などを見ると、今後も一定期間は食品の値上げが続くと考えられる。電気、ガス、水道などのライフラインも値上げが続き、生活者にとっては家計が厳しくなる一方だ。食品の節約には限界もあり、購入商品を変えたり、買い物の頻度を抑える、より安価な店舗で購入するなど購買行動の変化がより顕著になることも考えられる。今後も定期的に最新状況を報告していく。