阪神淡路大震災から30年。そして2025年1月13日午後、宮崎県で最大震度5弱の地震が発生し、気象庁は南海トラフ巨大地震の発生リスクを検討する「臨時情報」を発表しました。臨時情報が出るのは2024年8月に続き2度目です。またこの冬北日本は、例年の降雪量を大幅に上回る大雪に見舞われています。
1月の能登半島地震後、そして宮崎県で地震が発生し南海トラフ地震の臨時情報が出た2024年8月には、防災関連商品の売上が大幅に増加しましたが、その後の販売状況はどう変化しているでしょうか。
KSP-POSデータから、食品スーパーにおける防災関連商品の販売状況を確認してみましょう。
詳細> 【カテゴリー別まとめ】 【防災商品】 【その他防災関連商品】
- 2024年1月以降、そして2024年8月には防災関連商品の売上が大幅に拡大したが9月以降、食品では「防災商品」の前年比が高かった以外、伸び率が高い月があったカテゴリーもあるが、「防災」とは別の理由によるものが多いと推察される。
- 日用品・耐久消費財についても2024年9月以降、前年比プラスの月があるカテゴリーもあるが、「防災」が目的での購入は多くないと考えられる。
★防災関連商品 カテゴリー別 金額全店PI前年比推移 月次 全国
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、月次、全国)
- 防災商品の売上は能登半島地震後の1月から4月まで2桁の伸長が続いたが、5月から7月は前年を下回り、南海トラフの臨時情報が出た8月には300%を超える上昇を記録。その後も前年比はプラス2桁前後で推移しており、防災を意識している消費者は少なからず存在していることが窺われる。
出典:KSP-POS(ドラッグストア、月次、全国)
- 2024年12月の防災商品エリア別金額PIを見ると、PI値が他エリアより高いのが東北・東海・近畿・九州で、前年比が高いのは東北・東海・中国だった。東北での高い伸び率は大雪への備えが理由の一つとして挙げられる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、月次、全国)
- 2024年8月のエリア別金額PIを見ると、南海トラフ地震の対象エリアでのPI値や伸び率が高く、東北はPI値も前年比も他エリアより低かった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、月次、全国)
- 防災商品の2024年12月の売上上位商品を見ると、三立製菓のカンパンが180g(1位)と100g(6位)の2品で50%以上のシェアを占め販売店率も高いが、他製品の販売店率は10%以下だった。
- 一方、8月の上位10商品の売上は分散しており、販売店率が10%以上の商品は6アイテムあった。ここから、平常時に購入される商品は限定されていることが窺われる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次、全国)
★レトルト米飯+無菌パック米飯
- レトルト米飯+無菌パック米飯の金額PI前年比が2024年8月に大きく上昇したのは「南海トラフ地震の臨時情報」が主な要因と推察されるが、全体的にプラス傾向なのは防災対策としての購入だけではなく、昨今の米不足や米の高騰が影響していると考えられる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、週次、全国)
★やきとりビン・缶詰
- ビン・缶詰のやきとりの金額PIは能登半島地震があった2024年1月から南海トラフ臨時情報が発表された8月まで4月を除きプラスだったが、9月以降は伸び率が鈍化し11月以降は87%と大幅に下落した。
★魚肉ソーセージ
- 魚肉ソーセージは2024年9月頃、テレビの情報番組などで「コスパがいい、食べ応えがある、常温で備蓄でき防災用の保存食にも適している、栄養価が高い」などと相次いで紹介され、「防災用」も一因で9月以降2桁の伸びを継続している。
★包装もち
- 包装もちの前年比が2024年8月に大きく上昇したのは「南海トラフ地震の臨時情報」が主な要因と推察されるが、全般的にプラス傾向なのはパックご飯と同様に米不足や米の高騰が要因と考えられる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、月次、全国)
★水
- 水の金額PIは2024年1月から4月と8月の伸び率は高かったが9月以降、大きな伸長は見られなかった。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、月次、全国)
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喉元過ぎれば熱さを忘れる・・・というのが現状のようです。災害はいつ起きるかわかりません。災害への心構えはできていますか?防災関連商品や避難用リュックの中身は、賞味期限などを定期的にチェックして常に準備しておきたいものです。