発行日:2024年7月17日
KSP-POS マーケットトレンドレポート Vol.179
- 昨年の猛暑やインバウンド需要などで米の価格が高くなっている。
- 値上げ幅のバラつきはあるものの全エリアで米の値上がりは発生しており、特に首都圏、中国、九州では前年比120%超え。
- 大幅な値上がり状況にあるが、数量前年比119%(2024年6月)と売上も大幅にアップ。パンへの主食切替の様子も見られない。
*POSデータの対象店舗数、抽出期間等は巻末参照。
時系列
米の価格が上がっている。KSP-POSでは直近2024年6月の平均価格は全国で前年比116%。価格の上昇が顕著な中、売上も数量、金額共に大きく伸長している。平均価格の前年比以上に数量前年比の伸長が大きく、2024年6月は119%。金額前年比では138%。数量前年比は2023年10月から前年プラスで推移しており、平均価格の前年比が高くなるにつれて数量前年比も高くなっている。特にここ2か月の伸長率が大きく、値上げの終わりが見えず、買いだめしているようにも見える。(農林水産省は2024年6月14日の会見において “現時点で主食用米の需給が「ひっ迫」している状況ではありません。消費者の皆様方におかれましても、安心していただき、普段どおりにお買い求めいただきたいと思います。”と述べている。 引用:農林水産省 坂本農林水産大臣記者会見概要)
米の価格が上がる中、同じく主食であるパンの値上げ率は米よりも落ち着いている。しかし、パンの数量は大きな伸長が見られない。食パン・食卓パンの平均価格前年比は105%、数量前年比は96%。米の価格上昇は家計を圧迫しているはずだが、代わりにパンが売れる、という状況は見られないようだ。
▲KSP-POS 食品SM(全国、2023年6月~2024年6月)
エリア別
平均価格前年比が大きいのは首都圏、中国、九州でいずれも120%を超えている。もともと平均価格が高い北陸は前年と比べて平均価格差は99円と小さく、他のエリアと比較すると値上がりが緩やか。値上がりの状況や平均価格はエリアによるバラつきも大きいが、どのエリアでも値上がりは発生している。
数量、金額の売上では、北海道、東北、関東など全体的に東側のエリアでの前年比が高い。
容量別
容量別に見ると、コストパフォーマンスの良い10㎏の平均価格前年比が最も大きい。数量が最も伸長しているのは5㎏。
いずれの容量も、最低価格と最高価格、両方とも高くなっている事が分かる。KSP-POSにおいて2024年6月に最も売上金額が大きかった商品「ホクレン北海道産ゆめぴりか5㎏」で同じく最低価格と最高価格の推移を見ると、2023年10月以降、最低価格が大きく下がる月が無くなっており、特売が減っている様子がうかがえる。
▲KSP-POS 食品SM(全国、2023年6月~2024年6月)
*KSP-POSの平均価格、金額は全て税抜です。
調査概要
POSデータ: KSP-POS 月次データ
期間 :月次2023年6月~2024年6月
地域 /店舗数 : 全国 食品スーパー909店舗
*KSP-POSは全国約1050店舗の食品スーパーから収集した販売情報データベースです。
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