【2024年7月】変化する季節ー長い夏、そして短期化する春と秋

すでに猛暑日が続く毎日ですが、皆さん近年、夏が長くなり春や秋が短く、桜が咲いたかと思うとあっという間に夏が到来、紅葉が綺麗だなと思っているうちに冬がやってくるように感じませんか?
そういった年間気温の変化が商品の売れる時期に変化をもたらしているかどうか、KSP-POSのデータから確認してみましょう。                                              

KSP-POSとは・・・

【平年と直近3年の平均気温比較 東京都の気象データ】

平年(1991年~2020年)の平均気温と直近3年(2021年~2023年)の平均気温を比較。
2021年から2023年の3年は、平年の気温を下回る月があるものの、2020年以前より年間を通じて気温が上昇していることが読み取れる。2023年は1年を通して平年より気温が高く、他の年も含めると、春は3月・4月(2021年~2023年)、秋は9月(2022年・2023年)と11月(2021年~2023年)の気温が平年より高く、夏のみならず春と秋も気温が上昇していることがわかる。

出典: 国土交通省 気象庁 ホームページ
各種データ・資料 > 過去の気象データ検索

・2023年: 猛暑だった2023年は7月~9月の気温が平年より3度前後高かった上に、2月~4月と10月~12月も平年より気温は高く、年間を通じて平年より気温が高かった。

・2022年: 2022年は平年を下回った月が3ヵ月あったが(1月・2月・10月)、それ以外の月は平年を1度前後上回った。

・2021年: 前半は平年を上回ったが、この年の夏はやや気温が低く、7月以降は平年並みで9月は平年を下回った。2月・3月・11月の平均気温は平年より約2度以上高かった。


ではKSP-POSを使って、気温の変化に伴う商品の売上時期変動を確認していきましょう。

*2018年~2023年(コロナ禍の影響を受けた2020年を除く)5年間の各カテゴリーの売上平均と、直近3年の売上を比較した指数を使用

【加工食品】  【菓子類】   【飲料】

 

【加工食品】

気温以外の要因も考えられるが、猛暑だった2023年はいずれのカテゴリーも(冷やし中華は春夏のみ)年間を通じてほぼ5年平均を上回り、特に「パックアイス」「冷麦・素麺(乾麺)」は8月以降の売上が5年平均より大幅に高くなっている。また「そば(乾麺)」は2021年~2023年の3年を通じて5年平均を上回った。夏場に売れる商品の売上が、年間を通じて上昇している状況が窺われる。

出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、東京都)

 

・パックアイス:2023年は5月に5年平均を下回ったものの、年間を通じて平均を上回り、特に前半より後半の売上が平均より高かった。2022年は5年平均を上回った月が3ヵ月あったが(6月、7月、11月)、それ以外は平均を下回った。2021年は6月まで5年平均を大幅に上回ったものの、平年より気温が低かった7月以降は平均を下回った。

・冷麦・素麺 (乾麺):2023年は2月と5月が5年平均並みだったが、6月以降は大幅に上回り、7月は5年平均の約1.2倍、9月は1.3倍の売上を記録した。2022年は1月から7月まで、5月以外は5年平均を上回ったが、8月から10月は平均を下回った。2021年は1月から3月まで5年平均を上回ったものの、その後は平均前後で推移。特に9月は約0.8倍と平均を大きく下回った。

・冷やし中華(チルド麺):店頭に並ぶ3月から9月を比較すると、2023年は5年平均を上回り、7月は5年平均の約1.2倍以上の売上を記録した。2022年は3月と4月に5年平均を上回ったが、それ以降は7月以外平均を下回った。2021年は3月以外、平均を下回った。

・そば (乾麺):2023年は年間を通じて5年平均を上回り、8月は5年平均の約1.3倍の売上を達成した。2022年、2021年も平均並みから平均を上回る売上だった。

 

【菓子類】

猛暑だった2023年は「パーソナルアイスバー」「パーソナルアイスカップ」「ホームタイプアイスマルチ」「ゼリー(チルド)」のいずれのカテゴリーの売上も年間を通じて5年平均を大幅に上回った。特に7月以降の売上が高かった

出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、東京都)

 

・パーソナルアイスバー:2023年は1年を通じて5年平均を上回り、特に9月と12月は5年平均の約1.5倍の売上を記録した。2022年は需要期の7月・8月に平均を下回ったものの、2月・3月と6月、10月・11月に5年平均を上回っており、春と秋に売上が上昇している状況が窺われる。気温が低めだった2021年は6月と11月以外は平均を下回った。

・パーソナルアイスカップ:2023年は年間を通して5年平均を上回り、特に7月は平均の1.2倍、9月は1.3倍の売上を達成し、10月以降も1.2倍前後の売上を維持した。2022年は平均並みから下回る月が多く、2021年は2月は平均を上回ったものの、それ以外は平均並みから下回る月が多かった。

・ホームアイスマルチ:2023年は1年を通じて5年平均を上回り、特に9月は5年平均の約1.3倍の売上を記録し、10月以降も1.2倍前後の売上を継続した。2022年は5年平均を下回る月もあったが(1月・5月・10月)、それ以外の月は平均を上回った。気温が低めだった2021年は4月以降、平均を下回り不調だった。

・ゼリー(チルド):2023年は2月以降5年平均を上回り、6月と8月は5年平均の約1.2倍の売上を達成し、その後も1.2倍前後の売上を維持した。2022年は3月から8月まで5年平均を下回ったが、9月以降は平均を上回る月が多かった。2021年は5月と8月に平均をやや上回ったが、それ以外は平均並みか下回る結果だった。

 

【飲料】

ミネラルウォーターは気温の影響も受けているが、夏場だけでなく年間を通して購入されている状況が窺われる。「スポーツドリンク」は気温の影響は大きく、2023年の動向を見ると特に7月と秋以降の売上が平均を上回り、麦茶などを含む「その他ドライ系茶飲料」は7月が平均の1.2倍の売上で、春と秋も平均を上回る売上となった

出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット、東京都)

 

<清涼飲料>
・ミネラルウォーター:2023年は12ヵ月連続5年平均の1.2倍前後で、7月に1.3倍まで上昇しており、気温の影響も受けているものの、年間を通してミネラルウォーターを購入する消費者が増加している状況を示唆している。2022年は5年平均並みからプラス、気温が低めだった2021年は7月・9月・10月に平均を下回った。

・スポーツドリンク:2023年は7月と9月に5年平均の1.2倍で、10月以降も1.1倍前後を継続した。気温が低めだった2021年は平均を下回る月が多く、特に7月は平均の0.6倍以下で、気温の影響を大きく受けるカテゴリーと言える。

・その他ドライ茶系飲料:麦茶などを含むカテゴリーなので気温の影響は大きいようで、2023年7月が平均の1.2倍に対し、2021年は0.8倍以下だった。2023年は春と秋も平均を上回っており、夏に売れるカテゴリーが春秋まで広がっている状況が推察される。

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今年も昨年のように暑さが続き、春と秋は短くなっていくのでしょうか。季節の変化に伴い、今後はカテゴリーによってスーパーやコンビニの棚替え時期に変化が現れるかもしれません。

 

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