発行日:2025年7月22日
KSP-POS マーケットトレンドレポート Vol.188
- 小麦粉や片栗粉の価格が上がっている中、米粉の価格は安定(平均価格前年比101%)
- グルテンフリーでヘルシー、もっちり食感が特徴の米粉は、お菓子作りやパン作り、揚げ物など様々な用途で使う事ができる。
- 農水省「コメニ」では米粉の利用促進を図っており、今後も米粉の拡大に注目したい。
*POSデータの対象店舗数、抽出期間等は巻末参照。
「米粉」と「小麦粉など他の粉類」の比較
米の価格などが話題になっている中で、米粉の売上好調が続いている。米粉はグルテンフリーのためアレルギーを持つ人でも小麦の代替として安心して食べられるだけでなく、ヘルシーで栄養価が高いこと、サラサラしていて調理も簡単なことなど様々なメリットがある。また、農水省は2024年4月に米の消費拡大を目指し、米粉営業第二課(通称「コメニ」)を発足させ、食品メーカーや外食事業者に対し、米粉の利用を提案したり、米粉を使った新商品の開発支援を行っている。
KSP-POSで実績を確認すると、米粉の金額前年比は大幅プラスが継続している。粉類の中での米粉の金額シェアは直近で6.8%であるが、伸長率では最も高い108%。また小麦粉や片栗粉の平均価格が前年よりも高くなっているのに比べて、米粉の平均価格はほぼ前年並み(2025年の前年比は101%)で、価格が安定している。
▲KSP-POS 食品SM(全国、2024年6月~2025年6月)
前述の通り米粉の価格は安定しているが、グラムあたりの平均価格で見ると小麦粉よりも高め。グルテンフリーやヘルシーさ(小麦粉に比べて油の吸収率が低い)、もっちりとした食感など、米粉ならではの価値も米粉の売上好調の要因として考えられるかもしれない。
「米粉」種類別
米粉の中には、白玉粉やだんご粉など様々な種類の米粉が存在する。白玉粉、だんご粉、上新粉、もち粉、道明寺粉は主に和菓子を作る際に用いられる事が多い。もちとり粉は餅つきの際の打ち粉のため12月に売上が大きくなる。その他米粉はこれら以外の米粉のため、お菓子作りやパン作り、揚げ物など様々な用途で広く用いられる。その他米粉は米粉全体の約半分くらいのシェアがあり、金額前年比が大きくプラス。使用用途の幅が広いその他米粉が米粉全体の売上好調の理由であるとみる事ができる。
▲KSP-POS 食品SM(全国、2024年6月~2025年6月)
その他米粉は、1店舗当たり平均2.6個の品揃え(2025年6月)。和菓子に用いられる米粉(白玉粉やだんご粉など)の店頭取扱アイテム数は前年とほぼ変わっていないが、その他米粉は前年と比較して0.2個増加している。
▲KSP-POS 食品SM(全国、2024年6月~2025年6月)
米粉の売上1位の商品は「波里 お米の粉 お料理自慢の薄力粉」で、お菓子作りから毎日の料理にも使える事を謳っている。上位20品は、白玉粉の2商品を除いて全て金額前年比プラスとなっている。
*KSP-POSの平均価格、金額は全て税抜です。
調査概要
POSデータ: KSP-POS 月次データ
期間 :月次2024年6月~2025年6月
地域 /店舗数 : 全国 食品スーパー905店舗
*KSP-POSは全国約1050店舗の食品スーパーから収集した販売情報データベースです。
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