基幹システムの障害によって江崎グリコ社(以下グリコ)のチルド製品がスーパーやコンビニの棚から姿を消してしばらく経ちます。5月中旬に出荷再開予定が6月まで引き延ばされました。該当するカテゴリーの状況をKSP-POSデータから確認してみましょう。
【グリコ主要チルド製品 分類別動向】
グリコでは2024年4月3日に基幹システムを移行したが、その後システム障害が発生し、4月9日に売上は前年比6割程度まで減少。4月14日にチルド製品の出荷を一時停止。4月16日の売上前年比は58%まで下降し、4月18日に出荷を一時再開したが、19日に再度停止。その後売上は下降を続けた。5月5日の前年比は6%で、該当商品はほとんど流通していない状況となっている。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)速報店
*乳飲料: KSP商品分類の中分類「乳飲料」の細分類「牛乳」「強化乳(特殊乳)」「乳酸菌飲料」「乳飲料」「その他乳飲料」を合算 果汁野菜飲料(パック): KSP商品分類の中分類が「果汁・トマト・野菜飲料」で容器が「パック」の商品を集計
*主なブランド: 【グリコ】プッチンプリン、アーモンド効果、Bifix、朝食ヨーグルト、カフェオーレ、カフェゼリー、幼児飲み物、グリコ牛乳など
【グリコ主要チルド製品分類別金額構成比比較】
グリコ主要チルド製品の分類別金額構成比を分類合計とグリコで比較すると乳飲料はほぼ同じ割合だが、グリコはプリンの構成比が20%と分類合計(約4%)より大幅に高く、ヨーグルト・果汁野菜飲料(パック)の構成比は分類合計より低く、プリンはグリコのチルド製品の中で、大きな位置づけとなっていることがわかる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
【グリコ/キリン 各分類内金額シェア】
2023年の各分類内におけるグリコの金額シェアを見ると、プリンにおけるシェアが約23%と高く、ゼリーが約8%と続き、乳飲料・ヨーグルト・果汁野菜飲料(パック)におけるシェアは5%以下だった。一方、グリコはキリンビバレッジから紙パックの果汁野菜飲料の販売を受託しており、キリンビバレッジは果汁野菜飲料(パック)内で約10%のシェア。
ここでは分類内のシェアが最も高いプリンと、次にシェアが高い果汁野菜飲料の動きを確認していく。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
*キリンビバレッジの主なブランド: トロピカーナ100% まるごと果実感シリーズ、トロピカーナエッセンシャルズシリーズ、無添加野菜シリーズなどの紙パック商品
プリンにおけるグリコの売上は4月15日以降徐々に減少し27日以降はほぼゼロとなった。プリン合計の売上は、曜日回りや気温など他の要因も考えられるが、前年比が80%前後に下回った日も見られた。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)速報店
前年比を週次で見ると、プリン合計の伸び率は4月15日週まではプラスだったが、4月22日週以降95%程度に縮小。
メーカー別に見ると2位オハヨー乳業、3位雪印メグミルクはほぼ同様の動きをしており、4月29日週には130%を超える伸びを示したが、3位の雪印メグミルクに大きな変化は見られなかった。協同乳業とトーラクは売上は上位メーカーほど大きくないが、伸長率は上位メーカーを上回った。
前年比大幅増のメーカーが多いが、トップメーカーのマイナス分は埋められておらず前年から約5ポイントマイナスとなっている。
プリンにおけるメーカー別金額シェアはグリコのシェアが縮小するに従い、オハヨー乳業が22%から33%と11ポイント増加し、雪印メグミルクは4ポイントの上昇。また、協同乳業とトーラクに加え、その他メーカーもシェアを拡大している。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)速報店
メーカー別の販売店率を週次で見ると、グリコは4月15日週までは98%を維持していたが、4月22日週に61%、4月29日週には8%まで下降。オハヨー乳業、雪印メグミルク、森永乳業の販売店率に変化は見られず、協同とトーラクは4月15日週以降3ポイントの拡大が見られた。
1店当たり販売数量を見ると、グリコは4月1日週から徐々に減少し、4月29日週には2.7個まで下降。一方、他社の数量/店は4月15日週から増加しており、4月29日週に雪印メグミルクは約90個と4月8日週と比較すると約12個の上昇、オハヨー乳業は約82個(∔16個)と大幅に増えた。森永乳業、協同乳業、トーラクも5~6個の増加を記録した。
販売店率に大きな変化はなかったことから、グリコのマイナス分は各店舗における競合商品の売上増加によって補われたことが窺われる。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
【プリン アイテムランキング比較 2024年3月25日週 vs. 4月29日週】
2024年3月25日週ではグリコの製品が1位、2位、8位にランクインしており、合計で約20%のシェアを獲得していた。
3月25日週にシェア6.6%で3位だった「オハヨー 新鮮卵のこんがり焼プリン 140g」は4月29日週にシェア9.4%(+2.8ポイント)で1位。3月25日週にシェア6%で5位だった「雪印メグミルク なめらかプリン 70g×3」は4月29日週にシェア8.5%(+2.5ポイント)で2位に躍り出た。
販売金額や数量/店も大幅に拡大している一方、販売店率に大きな変化は見られなかった。また4月29日週には2024年に発売された新製品が3品ランクインしている。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)
果汁野菜ジュース(パック)におけるグリコのシェアは高くないが、グリコはキリンビバレッジから紙パックの果汁野菜飲料の販売を受託しており、10%程度のシェアがあった。キリンのシェア下降に伴い、雪印メグミルク・名古屋製酪・明治・その他メーカーのシェアが拡大している。
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)速報店
出典:KSP-POS(食品スーパーマーケット)速報店
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スーパーやコンビニにいつものように並んでいる、プッチンプリンをはじめとするグリコの製品やキリンビバレッジの製品に早く出会いたいものですね。皆心待ちにしています!